モノレールねこ

2007年8月28日 読書
ISBN:4163255109 単行本 加納 朋子 文藝春秋 2006/11 ¥1,600

全て関連の無い、純粋な短編集。
表題の「モノレールねこ」はでぶっちょ猫に
首輪がついたのが縁で文通する話。
タカキの正体はすぐにわかったけど
サトルにはわからないものかな?

一番ラストの「バルタン最後の日」が
一番好きだった。
何気なく捕まえられて、飼われる事になった
ザリガニの目を通して、フータの家族の優しさが
伝わってくる。
初めは割り箸でつままれ、殻すらも割り箸を
通しでだったのが、最後の時はきちんと
「手」で掴んでくれたところにこの家族の
バルタンに対する気持ちが現れていると思う。

家族には面と向かって言えない悩みを
バルタンにだけは独り言として話し、
バルタンも「人間って大変だよな〜」と
同情するからこそ、3人が行った後は
しばらく「粗食」で過ごす覚悟のうえで
TDLに行った時に泥棒が侵入しようとするのを
阻止した挙句、水槽から飛び出し命を落とした
バルタン。
また、そのバルタンの行動を瞬時に理解して
泣く家族もいい、と思った。

実際にはありえないんだけどね。
でも、ペットって案外人間の愚かな姿を
冷静な目で見ているのかもしれない。

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