薔薇に祈りを

2007年10月6日 読書
ISBN:4048737562 単行本 早坂 真紀 角川書店 2007/03 ¥1,575

正直、解り難い設定でした。
内容とかそういうレベルではなく、登場人物の
設定、時代背景がおかしいとでも
言えばいいのでしょうか?

主人公の名前が「真依」その旦那が「和彦」ときて
使用人(同世代、主に庭師)が「キク」と「良造」
という名前の設定からしておかしい。
本文に
自分達と同じくらいの年齢
なのだろうかと、真衣はその時思った。


とあるのだけれど他の描写はどっちかてと
「60才代〜の年配の感じ」が漂っていて、違和感。

さらにイギリスに留学していて、英語も喋れて
旦那の仕事を手伝っていた(東京在住)女が
田舎出の女が旦那に色目を使っていることを
「気のせい」と片付け、疑わないってこと自体が
ありえない。
主人公の素直な人を信じる性格を重んじたら
「専業主婦」で下界と接していないのであれば
この設定でもOkだけど。
ぶっちゃけ「共学」にいた女が男女の機微にうといし、
まるで児童文学か初恋きゃ〜物のティーンズ小説かと
疑ってしまう設定がどーしても理解不能。

この主人公、46歳、車の運転も出来ない、
疑いもできない、旦那に正直に気持ちも伝えれないと
「ないない」づくしの設定に正直「うんざり」気味で
読み勧めた。

「あんた、ばか?」と思ってしまった。

でも、使用人の「キク」はそんな「奥様」を
暖かく見守るし。
どんなに笑顔が綺麗で薔薇の精だと褒め称えても
なんかまちがってませんか?と突っ込むのは
私が根性悪だからでしょうか?

一方「キク」と言う名前が
「バラ」=イギリスの象徴とすれば
「キク」=日本の国花、と言うこととひっかけてあれば
「古くの日本の伝統、美意識、良心」などを表したかったのだろうか。

どちらにせよ50も過ぎた「お嬢奥様」に
翻弄されている気の毒な「使用人の一家」という
図式しか感じられなかった自分はこの作家の世界を
楽しんでいないのだろう。

20作目の記念作品と言うことだが
私のランクでは下のほうに位置する。
もう少し現実味を帯びた設定にしてほしい。

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