ISBN:4094081720 文庫 林 真理子 小学館 2007/06/06 ¥650

「あねご」と言う響きから
「姉御肌」とか「からっとしている」
「さっぱりしている」と言う印象を受けるのだが
さすが林真理子が書く女だけあって
ち〜〜〜っとも「さわやか」さが無い。

食欲と性欲は比例と言うか
完全に同じ物だな、と思わせる。
これはどの作品の女がそうであるとともに
林真理子と言う女が「強欲」で「無いものねだりの
業の深い女」と言う現われではないだろうか?

ワインよりも日本酒の方が「おいしい」と
感じるようになった、とあるが
これも男の趣味が変化しただけではないだろうか?
ワイン=原産地、香り、色と言ったことを
一通り「うんちく」を傾けてやっと
「自分を納得」させてからでは無いと味わえないのに
対してポン酒は「黙って飲め」、飲んだら
余計な事を言わずとも「わかる」ものであるから。
若いときの男選びは「三高」を始め色々な
条件を吟味して自分に「吊り合うか」という
傲慢極まりない考え方をしていつまで経っても
決められず30過ぎても独身のまま、というのは
当然の結果だと思う。
私みたいに「結婚できないだろう」と思い込んでいた
女が「いいですよ」と言う奇特な男が現れたら
条件なんか吟味する間も無く「はいはい、それもいいかも〜」
と話が進むのは当然である。
主人公も「なんで自分より綺麗でも才能があるわけでも
ない平凡な女が結婚できて、自分はできないのか?」と
悩んでいるけど、そりゃアンタ「勘違いのうぬぼれ女」
の何者でもない。
自分の商品価値を見誤ったらそりゃ売れ残るでしょう。
それも都合のいい女として軽く扱われて。

バブルの時代の「正社員」が30後半から40代となりつつ今
本当に結婚もしないでこれと言って仕事ができるわけでもない
女がこの先会社でどのように扱われていくのだろう??
仕事ができたら「独立」と言う選択肢も残っているけど。
主人公は35で退職して派遣さんになったけど、
それも小さい小さい会社で。
更新してもらえなかったらどうすんだろう??と
今時分がもし結婚していなかったらこの主人公と
同じように年下にはいいように利用され
既婚者からは先の見えない関係を提示され
どこまでも「漂って」居たかも知れない。

そう考えたら適当な時期にさっさと
結婚してよかったな〜〜〜〜〜と
この手のOL小説を読むたびに安心するのである。

これが唯川さんになったら
キャリアか専業主婦か?と
堂々巡りになるんだけどね。

ただ本編ではこんなに簡単に
男と寝ちゃって肉体関係をホイホイと
結ぶその「軽さ」は理解できない。
それも「ここで食事したら今日あたり
ホテル行くだろうな〜〜」って予測が付いて
いるってのがイヤだなあ。
そんなそこの浅い「駆け引き」を
している暇があったらもう少し相手を
「理解する」努力をしたらどないですかいね?

若くも無いんだから、タダのやらせの
バカ女=30過ぎた独女、ってイメージが
定着しちゃうよ。

でも、現実の世界ではこんな尻軽女の生態を
知ることはまずないから、「隣の寝室」ではないけれど
他人の性生活を覗き見する感覚でこの人の本は
ある意味面白いのも事実。
「他人の不幸は蜜の味」ってことを実感させられる。

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