ギフト

2009年8月14日 読書
著者名、日明 恩=たちもり めぐみ と読みます。
作風は柴田センセの真面目に(?)書いている
警察小説と似てます。
が、はっきり言って「暗いトーン」というか
真面目なトーンで全編引っ張っていくので
疲れますがそれでも読み終わったときに
小さな希望、が残ります。

警察系と消防系を2冊ずつ出していて
警察系はこれまた真面目な石頭な主人公と
かる~~~いキャリアの凸凹ぶりで進みます。

消防系はわりとなんとなく消防士になったけど
まあ、給料もいいしいっか~~って感じの
主人公ですがなんだかんだとお人よしぶりを
発揮します。

今回のこの「ギフト」も
真面目すぎるがゆえに自分を追い込んで
生きることを放棄した主人公と
「死者が見える」という特異体質がゆえに
孤独と絶望を抱いた中学2年生の少年との
交わり。

少年が抱える孤独は主人公の孤独とは
全く次元が違うけれど、でも
お互いがお互いを信頼して認めてくれたから
前に進んでいける、そんな話。

この人の作品を読むと「事件」って
ほんと日常何気ないところで発生し
毎日「普通」にけなげに生きている人間に
「災害」かのように襲ってくる。
何か私が悪いことをしましたか?
そんな風に理不尽さを神様に怒りをこめて
ぶつけてみても、見舞われた「厄災」を
一つずつ、少しずつ自分たちの手で片付けていくしか
ない。

刑事ドラマで言えば「太陽にほえ○」「西部警○」
みたいに毎回拳銃が出て、派手にどんぱち
するではない「特捜最前○」系。
地道に足取りを追って、証拠を固め、
同僚を愛称で呼ばず、苗字で呼ぶ、そんな感じの
小説です。
派手さはないけど、好きな作家です。

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