近未来の日本の設定。主人公、女探偵。

小説や漫画の舞台によくなる「世紀末伝説」と言うか、近未来の日本を覆い尽くすのは「絶望」。
人は「絶望」に取りつかれ、自殺にはしる。
「何のために生きているんだ?生きていてどうなるんだ?」と。
でも、本当は「絶望」なんか存在しなくてそれが「大きな力」による「情報操作」だったらどうする?
言われるままに生き、監視、管理されて。自由がなくてもそれでも平和に生きていけるのならそれでいいと、その「ゆがみ」を気にせず受け入れて生きている人間の方が多い。

「絶望」が存在するとその対極にある「希望」が生まれる。
が、「希望」が存在することを良しとしない「組織」が動き出すのも必至、というかお約束。

この一冊ではな~~んも問題が解決してません。というか、導入部分にしか過ぎない。著者もあとがきで「続編を書くつもりだが、今回のような形になるかは不明。」と。

作家と言うものは時に「巫女」になるのではないだろうか。
神に「お前の文章を通じて、警告をしろ」と。
「言霊」が乗り移った作家が「自分の意志とは関係なく、筆が進んだ」とよく語っているように私は柴田よしきと言う人は「巫女」ではないかと思う時がある。

私が「あっちの世界」に引きずられやすい体質のせいかもしれないけど、この人の本を読んでいると「未来」が書かれているような気持ちになってしまう。

作者も言う。
物語が現実に追いつかれてしまうかもしれない。どれでも、物語が現実に呑み込まれてしまうことがないように、必死で逃げようと思います。



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