エッセイ集

色々な雑誌に載せたエッセイ。
話が散らばっていて興味のあるところだけ読んだ。
その中でちょっと好きな一節。

失われた失われたと嘆かれるこの十年に、あなたの生活に何か忘れられないいいことは起こらなかっただろうか。誰に自慢するわけでもない、だた心の中で真っ先に指を折り、幸運に感謝するようなことは無かっただろうか。
どんな人でも一つも無かったはずは無い。
それはこの国も同じことである。
バブルがあのままさらに十年続いたとしたら、日本はどんな国なっていたことか。
不景気や貧しさには変えられない品性というものが、国にも個人にもあるのではないか。
時代は暗いとニュースは毎日繰り返すが、それを本当に決めるのはあなたや僕のような普通の人間だ。明るすぎず、暗すぎず、予断を持たずに今日を耐えて、少しずつでも前に進むこと。

2003年「季刊おおさかの街」発表作品

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