まっすぐ進め

2010年3月25日 読書
2009年発行

ちょっとだけ今までとテイストが違うけど「良かった」と思う感想の持てる本。

5編収められている一遍目に主人公川端直幸が書店で1人の女性に見とれることから始まる。
神々しいまでの美しさを持つ彼女に違和感をもたらす「二つの腕時計」。
その「意味」を考えた時に二人の関係が始まる…みたいな。

直幸=幸せに真っ直ぐに進めっていう直球勝負の名前です。と彼女=秋 に自己紹介する。
この「名前」の意味が最後の5編目に大きな意味を持つ。

最後の5編目は正直かなり「重たい」内容になっているけれどそれを「解き明かした」時に二つの時計の意味も変わる。

☆ ☆ ☆
「きれいな人」って言うだけで近寄ってくる男は山ほど居る秋にとって「二つの時計の意味」を考えてくれる人は自分と自分が抱えている大きな悩みを預けても=信頼してもいい人と位置付けている。
飲み会で「なんで二つ?」と突っ込まれて「お守り」って答えられたら「なんだよ?めんどくせ~女」と切って捨てられるか「適当に逃げられる」のがオチ。
深く突っ込んだ関係はごめんだから。
こうやって彼女の表情に潜む「無表情化」するのはなぜ?って気付いてくれる人だからこそ、彼女の心の重みをささせてくれるんだなあ…と思った。
で、うちの旦那はこんなに細かいことまで気づいてくれるかな?って比較したらまず「ありえね~」。
それこそ私が気に病んで自殺したところで「全く気づきませんでした」と言うのがオチ。
ただ、直幸のように「鋭い観察眼」を持った男をパートナーにしたらしたで、緊張を強いられるような気もする。
「嘘がつけない」「ごまかしきれない」から。
直幸が常に秋を「護る」という気持ちの上で接して行かないと、このタイプの人間と付き合っていくのは難しいような気がする。
他の編にも「結婚」をキーワードとする話が載っているが
この作者の中には男女は「護り護られる」関係であらねばならない、ってのを感じる。
結婚して「護り護られ」って関係を意識したことって無いな~と。
全てを理解して、護ってくれる関係に憧れる。

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