キ×コーヒーの「書茶(しょさ)」というサイトに掲載された作品をまとめた本、らしい。

お題は「香り」なんだけど、「コーヒー会社だから…」と簡単にコーヒーで話を作り上げるのは安直かと。
むしろコーヒー以外の香り、を取り上げた作品の方がおもしろかった。

1、夢の香り…石田衣良
2、父とガムと彼女…角田光代
3、いちば童子…朱川湊人
4、アンタさん…阿川佐和子
5、ロックとブルースに還る夜…熊谷達也
6、スワン・レイク…小池真理子
7、コーヒーをもう一杯…重松 清
8、何も起きなかった…高樹のぶ子

この中で意外だったのは「2」。
私、この作家嫌いだったのよね。
いっつも陰キャラの理屈ばっかりこねた可愛くない女が主人公の作品多かったから。
でも、この作品は結構「いい線いくなあ…」と見直した作品。主人公が中高生じゃなくて、「大人」になったからかもしれないけど。

あとミステリアスでスリリングだったのが「8」。
高校時代の同級生が同窓会でメルアドを交換してメールのやり取りをするだけの話なんだけど「そこに触れるか、ふれないか」のぎりぎりの線で留まり、お互いの気持ちをぶつけあっている作品。ちょっと、怖い。




私も「鼻=嗅覚」だけは自信があるのだけれど、確かに思い出や記憶に「匂い、香り」はあると思う。
なつかしくて、そして思い出すだけで涙が出てしまう「香り」。
その匂いを嗅ぐだけで思い出したくない記憶がよみがえる「臭い」。
臭い、匂い、香り、と鼻で感じる感覚なのに感じすら違う。できるだけ嗅ぐと気持ちがよくなるニオイを思い出にしたいもんである。

そういや、旦那が「好きな奴の匂いだったら普通だったら臭い、と思う匂いも許せるのはなんでだろう…」とぽつりと漏らしたのが妙に印象に残っている。

毛皮の子どもでも人間の子どもでもクンクンと匂いを嗅いでしまうオイラってちょっと変態。
でも、臭いんだけど安心するんだよね。
「ああ、これは××の匂い」って。
この匂いが受け付けなくなった時は「別れる」時かもしれない。

コメント