海堂尊(かいどう たける)著

上下巻の文庫本で読む。
印税の仕組みを知ると、一冊にまとめてくれた方が安いんじゃないか…と全く違う観点で感想を持つ。
著者、医者なんだから印税よりも収入高いだろうに…

で、読み始めて下巻に突入したらなぜ上下巻に分けたか何となくわかった様な…
全く様相が違うのである。
上が医療小説まんまなのに、下巻になると急に下品というかお笑いというか、二人の作家が書いたみたいにニュアンスが変わる。
それは厚生労働省の白鳥が喋る量が多いから。

A型(と思われる)田口医師、とラテンのB型(と思われる)白鳥。
そんなイメージ。
白鳥とは絶対に現実に遭いたくないし、喋りたくない。
かなり強烈的な個性の持ち主として白鳥を設定することによって、静寂な病院に嵐が巻き起こる。

今回の犯人について言えば、これ、現実にこの立場でこの状況でやられると患者側にとってかなり厳しいものがある。自分も実際手術を受けた側なので、あの時手術すタッフに「明らかな悪意」が無かったことを感謝する。

犯人の立場から「どうして人を殺してはいけないのですか?」と問われたら…
医者は良識がある、という前提で全てが行われているだけに、「異質なもの」が混じっていたらそれを取り除くことは本当に難しいと思う。

書き様によっては犯人が別の人、っていう設定もできるかもしれないし。
今回の本はおとなしいけど、どんどん作品を書くうちに病院の古い体質や現場の不満なんかもどんどん盛り込まれていきそう。

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