京都の空間意匠 (光文社新書)
2010年9月16日 読書
京都出身の建築家の目から見た京都の仏閣及び空間。
貴船は『象徴させる』の項目で取り上げられてました。
旅行後に読みましたがものすごく共感できます。
貴船は『象徴させる』の項目で取り上げられてました。
<貴船神社> 気の生まれる場所
貴船神社は京都の町中から離れた北山の中にある。
賀茂川を北上した先、その源流に近い貴船川に沿って位置している。そのため、この神社の起源は下流から上ってきた船にちなんだものともいわれ、船にまつわる史跡や場所がある。また別の解釈では、気が生まれる根元と言った意味の「気生根」からだともいわれる。
創建されたとされる奈良時代以前よりこの地が不思議な「気」を感じさせることからきたものだろうが、今もそれが頷けるような場所である。
貴船川は現在ではその清流のせいか、川床で料理を食べられる場所として有名で、夏の季節には特に観光客で溢れる。ただそれ以外の季節には人もまばらなようで、そのような夏を外した季節がこの地の雰囲気を味わうには相応しいように思う。
貴船神社には本宮と奥宮があるが、二つは近くにあってどちらもそれ程大きなものではない。
元々は奥宮のあったところに本宮があったようだが、それが出水によって流された為、今の本宮の場所に造られたようである、だが、それも平安時代の事である。
私は観光地となった今の姿を見ていると、このような料理旅館などの施設ができて、その本来のイメージがかなり変わってしまったような気がしている。
この地に神社を造ったのは、まず鴨川の源流出会ったことが第一であろうし、その源にできるだけ近い場所を造ろうとしたことも想像できる。
その中の特に神性を感じさせる場所が今の奥宮の場所で無かったのかと思うのだ。
今の道路部分が当初は山道のような参道であって、そのような川の源流を求めて川に沿って山道を辿り、この「気」に溢れた場所に至る事が本来の感覚ではなかったのか。
そこには常に水音のする中に崇高なる場所があった、それがこの神社の起源ではないかと思えてならない。
旅行後に読みましたがものすごく共感できます。
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