一瞬でいい

2010年10月6日 読書
唯川 恵著 毎日新聞社発行

こちらはさすがに新聞に掲載されただけあって重厚な出来上がり。
登場人物の年代設定が私よりも若干上。

あらすじはさせおき、人生「もし、あの一瞬が無ければ自分は一体どんな人生を歩んでいただろう…」と思う事は何度かあると思う。
それが、特に人の生死に関わっていたら残された人間の人生は大きく変わる。
登場人物は本編で常に「もし…」を突き付けられる。
特に主人公の1人であるキヨ(漢字変換がめんどくさいのでカタカナで明記する)はある意味「頑なさ」によって
自らの人生を悪い方、悪い方に歩む傾向がある。
もっと、素直になればいいのに…読んでいてもどかしさを感じることが多々あった。
まあ、不器用な生き方といい方もあるけど。

後半はどんどん深刻な展開になる。
そして癌が見つかった主人公の一人創介(ソウスケ)のセリフは重い。
「キヨは、若い頃と今と何が一番違うと思う?」
「何かしら、難しい」
「俺は思うんだ、若い頃はとにかく答えが欲しかった。
答えが無い生き方なんて、不安でできなかった。
「じゃあ今は」

「答えなんか無いってわかったよ。
もっと言えば、答えなんか求めるから不安になるんだ。
ただ、生きればいい。生きられるうちは、それだけでいい」

今日もまた一日が過ぎる



考えさせられるいい本です。
お勧め。

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