完敗です。
たった100ページの短編とも言える作品なのに、ものすごく中身が凝縮された作品。
何気ない描写の中に「ずしん」とくる言葉がちりばめられていて。

「ねえ、弥生。(中略)
あんたもこの先、誰かを好きになるかもしれない。
そう言う時に、その恋がほんものかどうか、見分ける方法がひとつあるよ。」(中略)
「そう。『この男は、あたしが幸せにしてやるんだ』って
ー そう思えるかどうかよ」


「離れていたってね、弥生」と葉月さんは優しく続けた。
「血の繋がりは永遠だよ。ううん、血のつながりだけじゃない。想いは、永遠なの」


一見淡々と進む話なのだが、ともすれば「ぐう」と言ううめき声とともに涙腺が度々決壊しそうになる。

短編集の一遍としたらもしかしたら読み飛ばされそうな物語だけれど、完成度はかなり高い。
「やるなあ~~」って思えた一冊。

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