2006年発行

1959年生まれの出版社勤務15年の著者の経験をもとに書いたであろう本。
前半は女性雑誌の副編集長として順調にキャリアを積んでいたかのように見えたのにある日を境にいわば左遷の形で新雑誌準備室勤務となる。しかしそこで「ワーキングウーマン」なる新雑誌を立ち上げることを企画し、あらゆることが好転し、女性編集長へとなっていく…そんな展開。

女性編集長はいない、という「ガラスの天井」の存在。
旦那が同じ会社に居るとどちらかが出世するとどちらかはなかなか上がれない。
仕事中心にせず、どちらかと言えば「ごますり」に時間を割き、そうすることにより仕事をしやすくする。
…など、多分私があのまま結婚せずに会社にいたら直面したであろう問題が盛りだくさん。
今はどうか知らないが20年前でさえどこか仕事を長く続けることができる環境ではなかった。
「子供がいるのに、働くの?(なんで?)」そんな感じ。
だからこの本で取り上げられているように「働く母親」にとって必要な情報が得られないのは少数過ぎて、成り立たないから。
今ならネットがあるのでそれこそ情報は20年前に比べて得やすいし、同じような境遇の人間も見つけやすく仲間意識も芽生えやすいと思う。
ただ、現実としてこのような雑誌が出ても初めは部数が伸びるとしても1年経つころには難しいのでは?

現実の世界でも最近買った「GOLW」は40代向けに創刊されたのに口コミを見る限りは「雑誌の内容」と「付録」の感想が二分される。
付録は「良かった」人と「家の中でしか使えない」人。
内容が「良かった人」「見るべきところが無かった人」。
自分のライフスタイルに合った情報が無ければ雑誌は売れない。必要な情報だけがあるのが「ネット」とすれば、そこにただの情報だけでなく「夢」も掲載するのが雑誌。

著者は結局この本を出版後退職しフリーになったらしいのだが、それは多分自分のキャリアが組織を離れてもやっていけるという確信もあったからでは?

この本の結末のようにすべてラッキーで終わるとは限らないのであるが、こうやって出版業界の裏を読めたのは大変興味深かった。
どの仕事にしてもやっぱり子育てとの両立は難しいと思う。旦那の協力もしくは実家等の協力が無ければやっぱり難しい。
この本を読んで「がんばって働き続けよう!」と思う人は何人いるかわからないが、どこか「夢物語」的な部分があるのは確か。
環境が恵まれている人しか結婚して子供を産み、仕事も続けて行ける事ができないのか、と言う気にもなる。
20年前と全然実情は変わっていないところに、まだまだ日本は男社会でありガラスの天井は存在し続けるのかもしれない。就職する前に天井の存在の有無を確認するのは当たり前なのだが、それすらもできないような雇用情勢の悪化。天井ぐらいなにさ、働けるだけマシ、文句を言うな、そんな言葉が20代から言われそうだ。

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