『プリンセストヨトミ』を予約しようとしたら「60人待ち」と言われ、じゃ、この作者で他の本をと言う事で片っぱしから予約をかけて届いた一冊目がこれ。

ちなみに「あをによし」とは「奈良」の枕詞という説明が表紙の返しに書いてありました。ほんとう??
『明解』さんには書いてなかったけど…

さて、内容。
この人、突拍子もない設定が好きね。
今回奈良を舞台に「鹿」「ねずみ」が喋ります…汗
で、史実を踏まえて展開をするのも定番ね。
で、話がどうも散文するのもどうもこの人の特徴ね。
やたら剣道シーンが長く(それをメインにするのであれば、迫力がある描写なのであるが…剣道知らない人には全然理解できない。)
もしくは背景を理解させる為にいきなり「奈良の歴史めぐり」をするので、これ2時間ドラマの定番の観光案内みたいだなあ…と。
そう、ドラマや漫画なら理解しやすいのに小説と言う文章だけで状況説明するって本当に作者に力量が無いと難しい。せめて簡易な地図を添付して欲しかった。(地図見ながら読みました)

名前に凝るのも特徴かな。
しかし本作の主人公の「名前」が明らかにされていないのはなぜ?黒板に書いたけれどバランスを崩したという表記はあるのだが。
ちなみにマドンナは長岡、重さんは福原。
奈良の学校は平城京そば、大阪の学校は難波宮あと、京都の学校は平安京の大内裏の近く…そんな感じで。
歴史が得意な人が読んだら「ピン!」と来るものを感じるので「推理?」しやすくなる。

あと、話し的にも今回は「父と子」ではなかったにしろ
「伝えていくもの」というテーマは変わらず。

ワンパターンですね

いい事書いてんのに、なぜか散文過ぎて結局「いいとこがどこかわからんかった」という感想になる。
映画と一緒やん。
この本が2時間映画になったらなったで「はしょりすぎ」でまたもや「原作のいいところが…」とか批判されるんだろうな。
もともとまとまりが無い 内容だから、どうしようもないってことね。

あれだけ剣道描写していて、ラストはあれで、主人公の今後が示唆されていないのもどうかと。
書くだけ書いて後はほりっぱなしかい!!みたいな。

一体どのジャンルに分類したらいいのかなあ、この人の本。
ファンタジーあり、歴史あり、ミステリーありと。
その「あいまいさ」が何とも言えない「居心地の悪さ」に繋がっているんだけどな。
中高生が「さら」っと読むにはいいけど。
大人(年齢的な、ね)には物足りません。

奇想天外な設定は評価できるんだけど、「芯」みたいなものがぶれて「すっきり感」が無い読後感。

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