しをんさん、デビュー作。

(ちなみに図書館で単行本を10月末に予約したのに未だに回ってこないから、こっちの文庫本が空きであったのでこちらを予約しなおしたという…図書館、長期貸し出し者をもっとチェックして返すように即してよ!!)

それはさておき、読み始めはお気楽な女子大生の就職活動の話だと思っていた。
というのも
説明会は「平服で」と書いてあったので思いっきり私服で行くとほかは全員リクルートスーツであった。その服装のまま筆記試験を受けた。するとどういうわけか
一次面接に来るようにとの指示が。さらに今度も「平服で」と付け加えられて。
なぜ私が筆記試験を通過したのかその訳はすぐ分かった。部屋には100人ぐらいの学生が集められていたが、それはどうやら全部同じ大学の人間のようだ。
つまり、大学名は問わないと言いつつもこうあって大学名で選別されたらしい。
まぐれで受かっちゃうことが多いことで有名な大学なのになあ(しをんさんは早稲田卒)とこんなずさんな選定をしている会社の行く末を案じた。


この部分ちょうどどんぴしゃ(内容は秘密にて…)だけに
「ああ、やっぱり…」と。

ちなみに題名の「かくとうするもの」については
主人公が志望していた出版社の試験にて社員が
「カクトウするものに○を入れてください」と言っていたのに対して、「カクトウ」じゃなくて「該当」だろ、と。
「該当」すら読めない人間が出版社に勤めることができる という皮肉さ。

「格闘」に関しては確かに内容的に「格闘」かと。
お気楽に見える主人公の周りには平穏とは言い難いいろいろな問題がてんこ盛り。ユーモア、風刺、皮肉、とさまざまな表情を見せるデビュー作だと思った。
「で、その後どうなるの??」とオチが無いと言えばないのだけれど、これがデビュー作と言えば素晴らしいの一言。

しをんさんの経歴は以下を参照に
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E6%B5%A6%E3%81%97%E3%82%92%E3%82%93
ほぼ、実話って話だったんですね。
しかも面接に行ってその担当者がわざわざ退職までしてこの本を世に出したとは…
有り余る才能を見出した時の編集者の喜びは想像を絶することでしょう。

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