これも「一粒で二度おいしい」パターン。
どちらかと言えば「作者」にとっておいしい(書いていて楽しい)のかもしれないが。

星間商事に勤める幸代は社史編纂室という「閑職」部門に勤めるがそれは自分の趣味の「同人誌」の活動を心行くまで楽しみたいという旨を申し出た結果。
同人誌の内容がいわゆる「腐女子」と言われる内容だけに会社の人にはおおっぴらには言えず。(ここがしをんさんの趣味がさく裂している)で、同人誌の活動、恋人との関係、
本来の仕事の中で遭遇した「脅迫はがき」の出現など今までの作品にミステリー要素も加わったタイプ。

感想は置いておいて
ここで気になったのが同人誌仲間の一人が結婚に際して「彼にこの趣味を知られたくないから、同人誌やめる」という点。
結婚相手に自分の趣味を隠した時点でその結婚はやめた方がいいと思う。そこまでして相手に合わせたところで何の意味があるんだろう?高校からやっていた趣味を旦那の為にやめる…それ今までの人生の否定では???
「やおい」好きな人には「オタク」な彼との付き合いはむりなんだろうか?これだったら似たもの趣味同士でうまくいかないのかな?それともこの世界では「タブー」の組み合わせなんだろうか?
歌舞伎と宝塚のカップルが多いように、お互い似た世界の人間同士の方が理解しやすいと思うんだけど…

というわけで幸代の彼の様に世界を放浪する癖がある男性でも女はそれを不満に思わず愚痴も言わず、男も彼女が必死になって「ヤオイ文章」を書いているのを罵倒もせずに製本の手伝いをするぐらい「理解がある」人間をつい求めてしまうんだろうなあ…
めったにいないと思うよ。そんな理解のある男。
むしろ、自分の世界に口出しされたくないから協力しているフリなんじゃないのかな?その内互いの関心がなくなって別れるパターンだろうなあ…
それって、根本「相手を必要としていない」ってことだけど。

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