さよなら妖精 米澤穂信著
2012年2月10日 読書
めでたくやっと読み終わった。
「古典部」や「小市民」などのシリーズものとは違って、一冊完結。
ユーゴスラビアの「どこか」からきた少女「マーヤ」。
2か月の滞在中仲良くなった主人公が一年後「無事でいるかどうか」という理由(これが最後の最後まで明かされずに展開。そのため、なぜ探すのか意味が分からずイライラ)で
当時の友人と再会中に「当時の思い出」として過去を振り返ることで問題提示する形になっている。
滞在中のエピソードは出版社が「ミステリー専門」ゆえに
とってつけた 感が否めず。
たとえば「激しい雨が降っている時に、傘を持っているにも関わらずささないのはなぜ?」というマーヤの質問の答えが
「その日が燃えないごみの日だったから」というお粗末な…
もしくは「たまたま行った」墓地に「紅白まんじゅう」と赤いサルビアの花が供えてあったことも「その人が墓に入ったことを喜んでいる人がいる」という「回答」でしたが、もしかしたら個人が「××の紅白まんじゅうが好き」だったかもしれないし、紅いサルビアの花が好きだったかもしれないのに。
私の住んでいる地域なんか90歳以上が死んだときは「紅白まんじゅう」を付けることになっている。初めそれを聞いたときは「え~~~~」って思ったけど。
長生きして死んだ場合はOKなのだとか。ゆえに、その墓のエピソードも納得しにくかった。どこまでも「日常の謎」にこだわりたかったのだろうけど、底が浅い。
ライトノベルと一般小説の中間のような感じ。
ユーゴスラビアという重たい背景を持っている割に滞在中のエピソードが軽すぎてせっかくの感動が弱くなる。
マーヤが話した内容から彼女がどこに帰ったのか、を推理していくのだけれど出た結果と結末が切なかった。
さて、本作を読むにあたって地図を広げる羽目に。
作者が1990年から1991年を舞台にしているとのことで
私の高校時代の地図=帝国書院編集部昭和58年4月発行 分と
長男の地図=帝国書院編集部平成21年1月発行分を見比べてみた。
数ある教科書は処分したんですが、地図って捨てれなかったんですねえ…笑
ユーゴスラビア=
スロヴァニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6つから成るそうで。私の地図にはただ一言「ユーゴスラビア」だけで表記。
一方、長男の地図では
スロベニア共和国、クロアチア共和国、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア共和国、モンテネグロ共和国、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国と表記。
この物語の数年後にすべて「独立」したってことですね。
遠くにいるとたくさんの人が血を流して歴史が変わっていくのに、無関心でいるとこんなに知らなかったのか…と打ちのめされる。
地図を見ると歴史がわかる。
私の地図には「チェコスロバキア」と一つの国なのに
長男のでは「チェコ共和国」と「スロバキア共和国」の二つになっている。
ドイツもしかり。
みんな「自由」を求めて独立していったんだねえ…
「自由」だけじゃなかったのかもしれないけど。
そんな深い意味を知ることもなく、日本という「のどかな」国にいたら世界から取り残されても仕方ないなあと思ってしまった。
題材がものすごい重たく深い話なのに。
書き方(アプローチの仕方)を変えたらもっといい本になったのになあ…と残念な一冊。
「古典部」や「小市民」などのシリーズものとは違って、一冊完結。
ユーゴスラビアの「どこか」からきた少女「マーヤ」。
2か月の滞在中仲良くなった主人公が一年後「無事でいるかどうか」という理由(これが最後の最後まで明かされずに展開。そのため、なぜ探すのか意味が分からずイライラ)で
当時の友人と再会中に「当時の思い出」として過去を振り返ることで問題提示する形になっている。
滞在中のエピソードは出版社が「ミステリー専門」ゆえに
とってつけた 感が否めず。
たとえば「激しい雨が降っている時に、傘を持っているにも関わらずささないのはなぜ?」というマーヤの質問の答えが
「その日が燃えないごみの日だったから」というお粗末な…
もしくは「たまたま行った」墓地に「紅白まんじゅう」と赤いサルビアの花が供えてあったことも「その人が墓に入ったことを喜んでいる人がいる」という「回答」でしたが、もしかしたら個人が「××の紅白まんじゅうが好き」だったかもしれないし、紅いサルビアの花が好きだったかもしれないのに。
私の住んでいる地域なんか90歳以上が死んだときは「紅白まんじゅう」を付けることになっている。初めそれを聞いたときは「え~~~~」って思ったけど。
長生きして死んだ場合はOKなのだとか。ゆえに、その墓のエピソードも納得しにくかった。どこまでも「日常の謎」にこだわりたかったのだろうけど、底が浅い。
ライトノベルと一般小説の中間のような感じ。
ユーゴスラビアという重たい背景を持っている割に滞在中のエピソードが軽すぎてせっかくの感動が弱くなる。
マーヤが話した内容から彼女がどこに帰ったのか、を推理していくのだけれど出た結果と結末が切なかった。
さて、本作を読むにあたって地図を広げる羽目に。
作者が1990年から1991年を舞台にしているとのことで
私の高校時代の地図=帝国書院編集部昭和58年4月発行 分と
長男の地図=帝国書院編集部平成21年1月発行分を見比べてみた。
数ある教科書は処分したんですが、地図って捨てれなかったんですねえ…笑
ユーゴスラビア=
スロヴァニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6つから成るそうで。私の地図にはただ一言「ユーゴスラビア」だけで表記。
一方、長男の地図では
スロベニア共和国、クロアチア共和国、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア共和国、モンテネグロ共和国、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国と表記。
この物語の数年後にすべて「独立」したってことですね。
遠くにいるとたくさんの人が血を流して歴史が変わっていくのに、無関心でいるとこんなに知らなかったのか…と打ちのめされる。
地図を見ると歴史がわかる。
私の地図には「チェコスロバキア」と一つの国なのに
長男のでは「チェコ共和国」と「スロバキア共和国」の二つになっている。
ドイツもしかり。
みんな「自由」を求めて独立していったんだねえ…
「自由」だけじゃなかったのかもしれないけど。
そんな深い意味を知ることもなく、日本という「のどかな」国にいたら世界から取り残されても仕方ないなあと思ってしまった。
題材がものすごい重たく深い話なのに。
書き方(アプローチの仕方)を変えたらもっといい本になったのになあ…と残念な一冊。
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