『ジーンワルツ』の母親から見た話。

『ジーン』を読んだ時「なぜ、代理母を受けたのか理由がわからん」とか「なぜ代理母までして子供が欲しいのか」と言った理由がわからないまま、話は進んでいった。

医療の特殊技術を使ったミステリーと言う立ち位置にいるため、現実の技術で可能かどうかはさておき説得力(力技??)でねじ伏せて、医療問題を提示した感があった「ジーン」。

で、本書で理恵の母、緑の視点から語ることにより補足したわけで。
正直、力のある小説家であれば本書とジーン一冊内にこれらのエピソードを収めるのが筋かと。
女医から見た妊娠、娘の子供を産むことになった母の妊娠を交互に視点を変えて書いたら深みが出たかも。

とはいえ、どうも本書はどこまでも「いいわけ」ぽく感じたし、結論を言えば理恵の物の考え方に共感できず。
冷たすぎる。
女は子供を産む機械、と言った大臣がいたけれどそれを思い出させるような女だな、と。
こんな冷たい女がどうして子どもを欲しがるのかな??と最後まで納得できなかった。

「ジーン」は今時の出産事情及び個人の産婦人科医の激務度を告発するかのような勢いがあったので読めたけど、本書はどこまでも「おまけ」の感を否めずスピード感も無い。

そして、何より娘が母親を軽視しているというかよそよそしさ&冷たさの原因はなに?って感じ。
「ママ」と30を超えてまで呼ぶ女の精神的な幼さと医者としての冷たさがマッチしておらず不安定な奴と。
う~~ん。子供を育てる環境がいいから問題にならないだろうけど、子どもが邪魔になったら薬で殺しそうな女だな、と。

この女医と『螺鈿』に出てくる小百合に同じにおいを感じるのだが…

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