モンスターパニック映画、を思い出しました。
海から突如巨大なザリガニが上陸。
人間を喰らう

必死で攻防する警察機動隊。
けれど平素「人間相手」の機関だけに圧倒的なチカラさの差を見せつけられ満身創痍。
縄張り意識から自衛隊の出動は見送られ続け、ついには
「壊走=戦いに負けて逃げること」を命令として出す

死に物狂いで第一次防衛線を守れ。
そして設置が終わったら徹底的に壊走しろ。
どこのどんなバカが見ても警察はお手上げだと理解せざるを得ないほど無様に、みっともなく壊滅的にだ。

恥をかくために恥をかけ。
無体な命令であることは承知の上だ。しかし横須賀を守るために、日本を国辱から救うために必要な恥だ。
早急に自衛隊の投入を決定させるためには官邸に警察の完全な敗北を見せつけるしかない。


先日読んだ自衛隊のルポで知ったことだが、こういった「団体組織」は常に上からの命令ひとつで動かねばならない。
「死んで来い」と言われたら「はい」と言うしかない。
自分たちのプライドを捨ててひたすら「壊走」をしなければならない茶番。読んでいて苦しくなる。

あまりのぼろ負けについには自衛隊からも「援助しよう…」と声を掛けるが毅然と断る。
「この壊走は我々の最後の任務だ。我々にも警察の意地がある、ここで自衛隊の手を借りたなどと言うことになったら仲間に申し訳が立たん」
(中略)
「彼らはこの壊走を任務と言った。誰にも言い訳できないこの不名誉を、彼らが誰の為に任務していると思う」


省庁の反目もあろう、縄張り意識もあろう。
しかし手を借りることさえ潔しとしない相手を担ぎ出すために彼らはこの壊走を強いられるのだ。それは一体いかばかりの屈辱か。


この部分、泣きそうになりました。会議するだけで自分たちの体には傷一つ負わない立場の人間は現場の人間の肉体が破壊されても見栄だけの為に他部署に援助を頼もうとしない。
どこまでも自分たちでけりをつけようとして手が付けれなくなるまでわからないのか。バカだ。

そして自衛隊の投入で半日で終焉してしまうという…
大半を占めた警察陣の必死の攻防は一体なんだったんだ…
(まあ、それだけ対人間と対非人間と言った対象物の違いにそれに適した組織があるんだからと効果的演出なんだけどね。)

イメージ的に「さらば宇宙戦艦ヤマ×」で圧倒的な強さを誇る白色彗星に手も足も出ずぼろぼろになるヤマ×を見ているような気持になり、
ザリガニは「ナウシ×」の「オ×ム」が目を赤くして暴走している列に「カリオスト×」の警官隊が盾を持って攻防している図、とでも言いましょうか。
で、完成された巨神兵の咆哮で「オ×ム」鎮圧、の図のイメージ。

自衛隊三部作と言われているそうですが、個人的には二作目の「空の中」が一番良かった。
今回のは読んでいて、なんか胸が締め付けられるような痛みを感じた。

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