こうやって児童文学を改めて読むと一般向けに比べてレベルが高いな、と思う。
だいたい、一般図書なんて「二日酔いで会社を休んだ」「朝起きたら知らない男と寝ていた」「不倫相手が連絡くれなくなった」などネガティブ、後ろ向き、怠け者そんなタイプでも主人公を演じることができるのに対して、児童書の主人公は最終的に「何かを見つけ、成長」していることがお約束。
それも絶対にネガティブな感じを持たせずに自然とリードしていく巧みなテクニックを要する(はず)。

児童書で活躍した作家たちが自然と一般書に転向していくが、正直パンチが足りないというか前向きさが半減するので登場人物に共感も思い入れも感じられなくてついつい辛口な感想になってしまうんだろうなあ…

「カラフル」と言う題名からいったい何が「カラフル」なんだろう?と思って借りたけど、ああそうか、そういう事かと納得。
ただ、中学生が読むにしたら若干精神年齢が高い子じゃないとこの冷めた主人公の考え方が理解しにくいかと。
大人の視点から読むと、ものすご~~く深いと思うんだけどなあ…
深い、と言うより大人になったら「当たり前」になってしまっていることが若き日には理解できずに苦しみもがくってことですが。

推理小説ではないので設定(正体)はすぐわかりますが、「なぞはすべて解けた!」って単純なものではない=別にばれても全然痛くもかゆくもない、っていうスタンス なのでそこにこだわってこの本の評価を下げるのはどうかと思いますね。

もっと素直に若き日の自分に戻って愉しみましょう!
でないと「何でこの子供は悩んでいるんだ?」と分かってくれない大人になっちゃうよ。そんな感じ。

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