ルーシーにおまかせ！　一条明著

背表紙で借りてしまった。（ルーシーの顔のイラストあり）
題名とこの表紙のイラストで勝手に「明るく楽しい話」を想像していたらSFだった。それも結構ハードな。
最近の傾向なのかな？表向きは明るくさわやかなラノベ系を装っているくせに実質は全く違うというのは。このウラハラ戦略、図書館で借りる分には実害が無いけれどまじめにお金を出している人にとっては判断基準があいまいになるので辞めた方がいいと思う。

さて、内容。
メイドのルーシーにはかなり「グロイ」基本設定が施されております。
先に素子や「ベルセル×」で予習＆免疫があったから助かったもののメイドさんが「きゃは！！」とか言ったり、メイドさんに「萌え～」とかするタイプだと思って読むとかなりいた～～～～～～い目に遭います。
上層階、下層階と言った身分の差系を読んだことのある人にはわかりやすい世界観。
また、私の場合「ベルセル×」で人間の顔が体の一部のどこかにあるものの、体は完全な「異形」を学習していたので文字で読んでもあっさりとイメージングできたのはラッキーですが、そうではない人には苦しいかも。

作者は裏表紙によれば

覆面作家。本作が、この名前でのデビュー作

確かに小説を書くことには慣れていると思われる。ただ、SF独自の世界を書くことに力を入れ過ぎて肝心の人物像描写が疎かな為。感情移入しにくい。
しいて言えば、この名前以外で「漫画orゲームの原作」でもしていたのかな？
周りばかりの描写は嫌って言うほど詳細なのに肝心の主人公の影が薄い。
ルーシーの雇い主である「ジュール」は女の子の設定なのに急に人が変わったような言葉使いになるのも違和感だし、これだけ「コピー」氾濫状態にあって
せめて最後までメインとなるジュールには女言葉を貫いて区別がつくようにしてほしかった。
漫画であれば「絵」でどっちがどっちとわかるものの、小説において一卵性双生児を区別させようと思ったら相当の工夫が必要だと思う。その点のサービス精神が感じられずに自分の世界観だけを前面に押し付けた感がぬぐえない。
しかも、これ、決着ついていないから次巻へ続く…タイプだし。
内心「え～ベルセル×並みに長編になるのか？もっと単純に解決すると思っていたのにな」と。
なんかな～
それならもっとジュール＆ルーシーにもっと萌え萌えの話し言葉を使わすとか
「きゃは！」とか言わすとかしてくれないと少年の様なジュールに共感できない。女の子らしく無くて、かわいげがなさ過ぎ。重たく暗いわ。
さらに取ってつけたようなレズ展開…これがしたくてこの言葉使いなのか？
じゃ、もう少しジュールの設定を変えろよ、とか思ってしまう。


これも最近の傾向かな？
人物が書けてない（基本設定がおかしい）くせに、舞台だけは果てしなく広く大きいみたいな。

まかり間違ってもメイドさん系萌え萌えと思って購入しないように。
それだけは強く警告しておく。