広告代理店に勤める26歳の男。休みの日に行ったプールで一人の女性と知り合う。
「四つのプールをローテーションで回ってるんです」
「はい?」
「毎日行っていると、顔なじみみたいな人が出来て、声をかけられるから、違うプールを転々としているんです」

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わかるなあ…気分転換に行っているのにその人と喋るのが目的、もしくは一方的に喋られて時間を無駄にさせられた挙句、おけいこを辞める羽目になる…

そんな風に知り合った女性とは別に主人公には彼女がいるのだけれど、これまた煮え切らない態度=お互いにもう時間の問題と分かっているのに最後まで「臭い芝居」に付き合って終わらせる。
優しいのではなく他人に興味が無い、という主人公設定は相変わらず健在。

そしてプールで知り合った女性は一卵性双生児で、親ですら区別がつかないどころか自分たちも「どっちがどっち」が自信が持てないところに彼女の妹が婚約する。で、よくあるパターンで姉の彼女は妹の彼氏に片思い…

主人公はリハビリとは言わないけれど、とりあえず彼女の傷をいやすために恋人関係「もどき」をすることになる。
でも、ほんとは彼女の事も「好きじゃない」。
と言うかなんか前の彼女にも「あなたは、 狂っている」とすら言われる始末なので確かになあ…

人の心の機微が全く理解できない男。
表面的には「いい人」「クールな人」「落ち着いた人」的な印象を淡々とした文体なので感じさせるけど読めば読むほど「ああ、嫌な奴」としか感じられず。
まあ、先輩ですら「お前、嫌いだわ」と面と向かって言うのでわざとそういう設定なのだと思いたい。
作者がこの性格の「まんま」だったら、ねえ…

sideーBに続く

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