正直、ボイルドエッグズ(話が滑稽、ホラ的な目新しさが売り)を受賞してデビューした作家が第2弾を出せるような力のある奴はいないだろう、と思っていた。一作目も舞台が


中国に合併されて、今では日本省

なんかタイムリーに嫌な設定だな。


主人公は「日本族」(漢族とか回族と同様)で、日本族の仕事にふさわしい「娼婦」と配下におかれた民族はどこまでも底辺。

神社仏閣と言った文化まで自らが捨てて、中国の配下に収まったのはちょっと意味不明だけど話のテンポの良さでどんどん読ませる。
今回宗教の話や生き残りの話などが出て、漫画でもよくある舞台設定の反面、自滅することが多いのに登場人物を余すことなく自由自在に操った後、それなりの着地点に収めたところはすごい!!!

よく「登場人物が勝手に動き回って…」と言い訳する作家がいるけど、要は自分でも何が書きたいのかわかっていないままに書き進めたからまとまりが無くなって力技でねじ伏せて一応の結果を見せただけだろ、とか思うことが多々 ある、最近の出版物の中でこの本は異色。

文中に中国語(多分)的な表現が混ぜ込まれているので異文化ぽい雰囲気がばっちりなのに京都と言う日本で一番古い都市を持ってきているところもすごい。
作者の底の深さがあってこそ、ここまでぐい~~~~~っと引き寄せる作品に仕上がっている、言い換えればお勉強ばっかりできて上っ面だけきれいにまとめることのできる作家が多い昨今、実体験が身となり肉となり「生き抜いてきた」強さみたいなものがある気がする。

ただ、本作では稲荷の性格に「イラ!!」としたのも事実。
他の登場人物がカッコ良すぎ!
さて、今後どのように進化し決着を見せるのか楽しみなシリーズ。

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