第4回日本ラブストーリー大賞受賞作だそうです。
文章は非常に読みやすく端正。しかしその読みやすさが意外とネックで本当は引っかからないといけない心情をさらっと読み飛ばしてしまうようなところがある。1972年生れ、京大法学部卒と言う経歴がそれこそ社内文書とか書き慣れ過ぎて要点がわかりやすくが当たり前になってしまったのかと思うほどと、
やっぱり普通の高校生では考えないような冷静さが主人公に備わってしまっている気がする。
帯に
10代の心と日常をリアルに描いた、新しい感覚の青春恋愛小説
とあるので「新感覚」を期待したのだけれど、どこが?って感じ。
ただ、次男が「死にて~なぜ生きているのかわからん!」とか「2次元に生まれたかった」的な事は言っているので確かにリアルな日常を描いているのかもしれない。ただ丁度書かれた年頃の子供がいるから理解できるのであって、もし子供の年齢が離れていたらきっとこの本を理解することは無いだろう。
確かに自分も10代の時「20歳までに死にたい」とほざいていたけど。
まさか40を超えてまで「いつ死んでもいいぞ」と口走っているとは思わなかったけどね。

この作品、読みやすい割に意外と登場人物の心情描写が薄い。
一番気になるのは「なぜ先生はリカを好きになったのか」が全く分からん。
(27歳の現役高校教師と17歳の女子高生の恋愛)
そもそも、交際を知られるをビビッている癖に、なぜ理性を保てなかったのか?とか大人は思っちゃうんですね~
これが10代の子が読んだら「好きなら当然」とか言いそうだけど。
でも、本文のリカ自身が「知られたら私は転校させられるし、先生は首になって路頭に迷う」までしっかり理解しているところ(超冷めまくり)がなんとも…
真希はなぜピルにこだわるのか。仮谷はなぜスタンガンを持つのか。
そういった小道具の説明があればもっと掘り下げてもしかしたら高校生の不安(=闇)も表現出来て深みが出たかもしれないな、と思う。
ただ、メインは「恋愛」だからあんまり暗い話になってもと言う大人の事情もあるのかもしれないが。

どこが新感覚の青春小説なのかわかりませんでした。
逆にどこにでもある一般小説(ただし主人公は高校生)って感じ。
感覚が鈍っているヤツは読むな、ってことっすか?

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