ふがいない僕は空を見た　窪美澄著

５編からなる短編ですが各編登場人物がリンクしてあり、視点が変わるタイプ。
タイトルの「ふがいない僕は空を見た」と言う題名の話はなく、５編をまとめたらこういう題名になる。

『ミクマリ』…女による女の為のR－１８文学賞なるものを冠に乗っけてます。
それが一体何の意味を示すのか私にはわかりませんが。
性描写はありますが濡れません そこら変にたくさん下品なものが転がっている昨今これぐらいの事で目くじら立てる方が童貞＆処女 どうかと。

むしろ『ミクマリ』を読んで「ふ～～～ん」と読み終わり次の『世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸』を読み終わった時に逆に『ミクマリ』の「あんず」の喘ぎ声が「心の叫び、泣き声」のような気がしました。
自分ではどうしようもない出来事を誰にもすがれず立ち往生している姿に。

多分、子供がいない独身者には絶対に（特に男）にはわからんでしょうね。
この気持ち。
私も運よく子供が出来たから良かったけど結婚して３年経っても不妊だったら今頃完全に離婚している。だってあの姑ですから。「まだなの？」「まだなの？あっち（義兄宅）は３人目よ。いつまでも仕事なんかしてないで子作りしたら？」って無神経に毎日念仏のように言い続けただろうな。実際子供が生まれてもまだ自分の価値観を押し付け続けているんだから。
マチコさんが自分の姑に重なった。なので、自分も子どもが出来ていなかったら第二第三のあんずになっていたと思う。

後の３篇は「卓巳」に関わる人からの視点で描かれてます。
正直、初めの２編と比べてテーマがかなり変わったと思います。
一作目が賞を受賞して注目を浴びたので、作者の中で温まり過ぎた感のある「思い」がこんな形で噴出したのかな？って。

キワモノ扱いで注目されたとしても、やっぱり多くの人に読んでもらって「生と性」を正しく理解してほしいと思う。
ただ「卓巳」がきちんと立ち直れるまでの描写も「母親」としては提示して欲しかった。あのままだと心配。


ぶっちゃけね、「少子化問題」を取り上げたら選挙の票が取れるなんて思っている甘チャン政治家たちに読んでほしいよね。
「幼稚園」と「保育所」と全く目的が違うものをまるで「大阪市」と「大阪府」同じものが二つあるのは不合理、とばかりに一つにまとめちゃおうとする横暴さだと思う意見は全く無視して「要は子供を一つのところにまとめておきゃ、いいんだろう」っていう「子育て」の基本がわかっていない官僚が思いついた制度だなあ…と思う私にはこんな本で学習して欲しいんですけどね。


それとこの本を最後まで読み通したうえで、おったてて、出すことのできた男。
アンタえらいよ。あんたみたいなサルがいたら日本の未来は安心だ。
精子バンクに登録しなよ。あんた、英雄になれるよ。