正直話が動き出す気配が一向に無い前半は退屈。
「インジャ」の話が出てきてやっと動き出す感じ。
ここで取り上げられているAV監督についてはモデルになる人物は存在することは別の本で読んだ記憶がる。「エロ」ではなく「暴力」を描く監督として。
それは「人間の破壊」に繋がる映像という事で有名とか。
そして、有名な「この会社なら安心」と思わせておいて実は何も知らない子供を引きずり込む「手先」になっている恐ろしさ。
今日も三×自動車がリコール問題になっていたように「もう二度としません。隠しません」と言っておきながら同じ事を反省もせず繰り返す今の大人が構成している社会。
そして「個」が「全体」に異を唱える難しさを説く。
今回の選挙もそう。
あれだけ「脱原発!」と叫んでいたのにふたを開けたら「原発促進」派の圧勝。
脱原発を叫ばない私でも「それでええんか??!!」って思う位に。
(だからそれをキーワードに無所属で立候補した候補者は自分は当選すると思い込んでいたのだと思う)
前回の選挙で目先の手当てに惑わされて民主に入れた結果が、増税と言うさらに自分たちの負担を増やす結果になった。
今回自民に入れた人たちって今後自分たちの子供&孫が徴兵に取られる危惧は持たなかったのか?
自衛隊を国防軍と変貌させることは結局は過去の過ちを再度繰り返す歴史をたどることになるという事を考えなかったんだろうか?
まあ、年より世代はもう戦争に行かなくていいものね。
これが本書における「一人で戦う事のむつかしさ」かもしれない。
個が異を唱えると事は全体に淘汰させられ、その結果その存在すら消される可能性もある。
「みんなが」「みんなの」「みんなで」そんな風に簡単に使われる「みんな」の恐ろしさ。
なるべく考えないようにしている「みんな」と言うのは誰を指すのか、ということ。

そんな重く深いでも普段軽んじられている考えるべきことを問題提起していると思われる一冊。
ただし、やっぱりどこか退屈(まとまり感の無さ)な感は否めない。
このテーマを書くとしたらもう少し人物設定を変えるべきかと。
14歳の少年を主人公にしちゃうと、どうしても「小生意気なガキ」(イメージ:コナ×君)ぽく感じられて共感しにくい。

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