題名だけで借りた本シリーズ最終。

副題に「花街」とあるけれど肩ぐるしいしきたりとか掟に縛られたような話ではなく、簡単に言えば若い子が「バイトでキャバしてた~」とあっさり言える感じで「昔、芸者をしてました」的な要素の人間が登場するだけ。

たまにお!っと思う表現が有ったり
好奇の視線が作り上げた虚像は、どこか見る人自身を物語る。

する一方で、独特な表現がある割に注釈が無い不親切さを感じたり、
唐突な文章が出てきて「これは一体誰に向かって発した言葉であり、誰のセリフ?」と戸惑うことが多々あった。

例えて言うなら「結構独特な食材を使って、丁寧にダシも取って繊細な調理法を使っている割に、食べたら印象が残らず『あれ?どんな料理だったけ?』と食べ終わった途端に思うような料理。おいしい、とは思うけれど何かが足りない。
イマイチインパクトに欠ける」そんな作品集。

短編って一つの作品の中に起承転結がきっちり収まって読み終わった途端に
「ああ、そうかあ~」と余韻に浸れるものがいい。
これは読みながら何かを感じつつあるのにそれがはっきりした形になる前に終わってしまった感じがして「で?」って感じだった。

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