母の遺産―新聞小説 水村美苗著
2013年5月1日 読書
長かった、そして退屈だった。こんなに読み終えるのに時間がかかった本も久しぶり。
特に何かの書評で「実母に死んでほしい、と望む娘の心理」みたいなことが書かれていて「まあ、私にぴったり!(喜)」的に即予約したのに期待外れも甚だしかった。
冒頭一発目に「母親の死後、転がり込む遺産金」の額から始まりえらく
俗物的な展開だなと思っていたけど。
P81
「レース」を「レエス」と表記する美的感覚そして
50を過ぎても相手を「ママ」と呼び、自身も「ママはね…」と
語るものに潜む「上流階級意識」。けれどそれは「メッキ」もので
自身を「あたし…」と言う部分に表れる。
文中、いかに母が「わがままに」育ち、そして人を振り回し特に娘の
精神を刺激する存在になっていき、娘たちから「早く、死んでほしい」と
切に願われるかの「醜さ」が綴られる。
その一方で死後の葬儀に関すること、介護保険におけるありがたみなどえらく現実がリアルに描写される。
別の話としては50女の主人公が夫に他の女に寝取られ、母の死後、疲れをいやすためにホテルで色々考える。それは今まで「夫に食べさせてもらって生きてきた」女にとってはかなりのダメージを持つ。
が、慰謝料そして母からの遺産を手に入れたことにより自分だけの「城」を手にした主人公だけが残る。
「母の死を願う」と言うバックボーンを共にする私でさえ、ちいいっとも
主人公に共感、感情移入できぬままに終わる。
これ、親に対して常に感謝の念を持ち続けている「幸せな人」がもし読んでも
全然心に響かないだろうなあ…
というより、これだけ雑多なものを放り込んでおきながら、一貫したテーマを感じることができない。
上手な小説家 例えば宮部みゆきが書いたとしたら、一見どんな支流で構成されようともラストで一本の太い流れとなって「なるほど、そういう事だったのか!!」と腑に落ち、感動…と流れになるんだろうけど。
ただ、主人公の「母」のあまりに目に余る「個性」が
P263
なるほど!
私の母、姑、そして兄嫁母とこの3人の「母親たち」がそろいにそろって
主人公の母と同じく2月生まれのみずがめ座 ゆえの
「業の深さ」の持ち主として「共通項」を持つことに納得!(笑)
まあ、1月生まれのみずがめ座は逆に「家族に振り回されて青息吐息」
なのを知っているだけに…笑
それにしても「なんのこっちゃ」という感想だけ残り、なかなか読み終わらずに
日記も書けずにいたのである。
特に何かの書評で「実母に死んでほしい、と望む娘の心理」みたいなことが書かれていて「まあ、私にぴったり!(喜)」的に即予約したのに期待外れも甚だしかった。
冒頭一発目に「母親の死後、転がり込む遺産金」の額から始まりえらく
俗物的な展開だなと思っていたけど。
P81
この年になると老いた母親の話を友人知人から色々聞くようになる。
典型的なのは、物を捨てられない母親の話である。
何もすれてないままに、二階は数十年来、開かずの納戸と化し、
物が溢れるうちについには寝る場所も無くなり今や肘掛け椅子で夜を越している母親の話を聞いたことがある。
幸い美津紀の母親は整理整頓が好きな人間であった。きれいにお化粧をしてちんと座っていた。しかも、老いても、物を捨てるのが平気であった。
ところが、その一見整理整頓された家も、いざ片付け始めると多様なものが洪水となって氾濫してきた。
母が平気で物を捨てれたからこそ、洪水の中身は、母の老いについても
母と言う人間についても、かえって雄弁に語っていた。
「レース」を「レエス」と表記する美的感覚そして
50を過ぎても相手を「ママ」と呼び、自身も「ママはね…」と
語るものに潜む「上流階級意識」。けれどそれは「メッキ」もので
自身を「あたし…」と言う部分に表れる。
文中、いかに母が「わがままに」育ち、そして人を振り回し特に娘の
精神を刺激する存在になっていき、娘たちから「早く、死んでほしい」と
切に願われるかの「醜さ」が綴られる。
その一方で死後の葬儀に関すること、介護保険におけるありがたみなどえらく現実がリアルに描写される。
別の話としては50女の主人公が夫に他の女に寝取られ、母の死後、疲れをいやすためにホテルで色々考える。それは今まで「夫に食べさせてもらって生きてきた」女にとってはかなりのダメージを持つ。
が、慰謝料そして母からの遺産を手に入れたことにより自分だけの「城」を手にした主人公だけが残る。
「母の死を願う」と言うバックボーンを共にする私でさえ、ちいいっとも
主人公に共感、感情移入できぬままに終わる。
これ、親に対して常に感謝の念を持ち続けている「幸せな人」がもし読んでも
全然心に響かないだろうなあ…
というより、これだけ雑多なものを放り込んでおきながら、一貫したテーマを感じることができない。
上手な小説家 例えば宮部みゆきが書いたとしたら、一見どんな支流で構成されようともラストで一本の太い流れとなって「なるほど、そういう事だったのか!!」と腑に落ち、感動…と流れになるんだろうけど。
ただ、主人公の「母」のあまりに目に余る「個性」が
P263
母は戦前「紀元節」と呼ばれた二月十一日に生まれ、それで紀子と名付けられたのである。
なるほど!
私の母、姑、そして兄嫁母とこの3人の「母親たち」がそろいにそろって
主人公の母と同じく2月生まれのみずがめ座 ゆえの
「業の深さ」の持ち主として「共通項」を持つことに納得!(笑)
まあ、1月生まれのみずがめ座は逆に「家族に振り回されて青息吐息」
なのを知っているだけに…笑
それにしても「なんのこっちゃ」という感想だけ残り、なかなか読み終わらずに
日記も書けずにいたのである。
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