以前ここに書いた
http://75552.diarynote.jp/201305190718075534/
と同じ訳者の作品。
原作者が違って訳者が同じ場合、果たしてどちらに実力があるかわかる気がする。
訳す方も原作がしっかりしていたら楽だろうな、と言うのか今回の感想。

さて本作、ベースはあの有名な「白鳥の湖」。
言われてみれば、なんで白鳥に変えられたの?と。
こうやって「理由」があれば、「なるほどなあ…」と改めて思った。
さて、主人公はオディール。
本来は妖婦のような扱いで、純真可憐なオデットから王子を奪う役ですが
本作ではどちらかと言うと生真面目で内気、かつ魔法研究熱心という
「地味」系。
むしろオデットの方が性格がはっきりした女王そのまま気質。

父と娘の関係の葛藤をベースに折り込んで、今の時代に通じる味付け。
その一方で魔術師がやけにオデットに執着したかの理由も欲しかった。
かつ、自分の妻との関係も。
妻にこぴっどく裏切られた怒りが、他の女に対してこのような酷い魔法を
かけるに至った…みたいな感じのエピソードもあっても良かったかも。
娘を「物」もしくは「便利な道具」扱いするに至った心境とか。
原作を重んじすぎたために、魔術師のキャラ付けが薄かったような。

というわけで、うちの図書館にはこの翻訳ファンタジーはこれ以上
一冊も置いてないので読むことができないのは残念。

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