時代物短編集

坊主の壺
お文の影
博打眼(ばくちがん)
討債鬼(とうさいき)
ばんば憑き
野槌の墓(のづちのはか)


どの話も「人知の及ばない」不思議な話。
全体のトーンとしては暗め。
以前、長編か何か別の話で出てきた人たちがちらほらでてくる。

『お文の影』はラスト泣きそうになった。
『博打眼』は「餓え」とはなんと恐ろしく悲惨な事か。
『討債鬼』出てきた主人公が以前出くわした「鬼」の話と先日読んだ
唯川恵さんの『雨心中』で「カオル」が出会った鬼と「同じ」だと思った。
全く別の人が全く違う作品で「同じ種類の鬼」=女を喰らう(性奴として弄んだ挙句女は精神に異常をきたすか自殺する)の描写がある(時代背景は全く違うのに)ものすごく嫌な気持ちになった。
『野槌の墓』で思ったのは人を殺したことのある「道具」がその後、そのことを
「気に病む」と言う視点。人が人を殺した場合「感情(主に後悔であって欲しい)」が生じるのは当然だと思うが、その「人殺しの道具として用いられた道具自身」に「人を殺したという消せない傷」を抱えて、ひっそりと暮らしてきたのにそのことを思い出したために「道具」が精神を病んで再び人を殺めることをしてしまう…さらに「悪化」しない為にも「人間でない者」達が「殺してやってくれ」と頼む、と言うどこかせつない話。
付喪神(つくもがみ)の事を知っていたら「納得」できるんだよなあ…
今だったら「人を殴って殺した凶器」として警察署に保管されているかもしれない「元:道具」だって「人を殺すために使われたくなかった!」って思ってもいいんじゃないのかな?とふと思ってしまった。

ところで、宮部みゆきと永尾まるさんとコラボしてくれないかな?
めっちゃ感性的には似ていると思うし、絶対に成功すると思うんだけどな。
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ラストに猫も出るし、狛犬さんだっていい感じに描いてくれそう。


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