えっらい「帯」付いてるなあ…(呆)なんだ、この写真って感じ。ちょっと、失礼と違う?「落伍者」って…まさに買う人(借りる人)が「それ」に値するってことかいな?まあ、確かに。内容的にはそうなっちゃうんだろうか…

1995年の作品です。その為「懐かしいな」と思う反面、古臭いなって感じもします。バブルの臭いがプンプン残ってますから。
例えば、主人公の「志織」は短大卒で銀行の正社員。
もう、この段階で今時の20代30代は「ありえね~」感覚かと。
ありえないどころか高卒で就職する子は銀行って一つのルートすらあったんですけどねえ…20年前は。
カレシノいないことをごまかす(?)為に、毎日何かしらのおけいこに行っていたのも懐かしい。今じゃ、そんな時間もお金ももったいない、ってとこでしょうか?ストレスを買い物でってのも「ボーナス」があってこその行動。
定時で帰って、帰りに買い物ってのも今だったら残業でそれどろじゃないわ、って感じでしょうか?

さて、20年前の話なので、24歳にして「もう24歳、まだ24歳」と
揺れ動いております。当時はまだ結婚適齢期と言う言葉も残っていましたので。
30までに嫁に行かないと…と言う風潮も健在でした。時代は変わるもんです。
高校の時密かに好きだった男の子と偶然再会し、当時の思いを思い出し
せっかく紹介してくれた「篠田」さんよりも、大学を3か月で退学後
バイトのみで定職にも就かず、女もとっかえひっかえの「夏彦」の方に魅かれます。
揚句、知り合いを頼って地方に行ってしまう、夏彦を追いかけ、告白して終了。

アホです

本文中に夏彦のはっきりした意思表示もないまま、若さゆえのツッパシリのみで告白。男も一応まんざらではないので「とりあえず」は彼氏と彼女になるでしょう。きっと自分が20代なら「ええ話や~~~。私も彼氏、欲し~」と言う感想を持って読書終了したことでしょう。
が、同じ頃に結婚し、20年たった今、もし本文と同じことをしていたら

別れていた と、容易に想像が付きます。

だって男が無職、女が正社員。格差社会の「ヒモ」男になるの明白。
しかも、こんだけ「依存色」の強い女が、
夏彦を手に入れた途端に急に自立心が芽生えるならまだしも、
「30までは頑張って貯金するから、その後はあなたの好きな仕事で生きていきましょう!」位言って「甘やかし」、(男はその間つまみ食いし放題)
この性格だとそのうち、
「いつ、結婚してくれるの?」と不満を持ちつつ、
「言うと、負担になるし…(逃げられるし…)グジグジ…」
と言うのが目に見えるタイプ。
というより、「男を甘やかして、だめにする」ってのは先日の『雨心中』の
姉と弟の関係にそっくり!
そっか、唯川さんの潜在意識は、これなんですね!
一見「いい人」で「尽くす」ように見えて、実は「ダメ男製造元」ということ。

おばちゃんからの目から見たら「篠田」さんなんか「お買い得物件」だったんですけどねえ…
「いい人」は「ちょい悪」(古!)には勝てませんかね?もったいない。

そういう意味ではきっと志織は「しょうもない男に引っかかって」と言う意味では「落伍者」。
夏彦の方は定職にも就かず、でも「好きな事をして行けたらそれでいい」と
完全な人生の「落伍者」。
こんな「おバカ二人組」の話を読んで、「ああ、こんな風にならない様にしっかり人(異性)は見極めて、仕事もきちんと選んでこなそう!」と反面教師にする分には最適な一冊。今の子、もっとシビアに考えて生きているだろうけど。


6年ぶりに再会して話が始まる本を、一週間前に同窓会に行った私が読み、
この小説は阪神大震災の二日後に取材に行って書いた話だとか。
その震災の年の6月30日に次男が生まれ、そんな日にこの感想を書いている
偶然を面白いと思う。
と言うわけで、本日18歳のお誕生日おめでとう!
しかし、こうやって無事子供の誕生日を家族そろってお祝いできるもの、
20年前に私が「篠田」サン的男性と結婚して今に至っているという
証明に他ならないと思います。

コメント