海堂尊、川上未映子と「癖のある作家」が続いたので、
素直な文章は非常に読みやすい。
特に、猫が出てくるし。ペットのいる人なんか共感しやすい一冊かと。
その一方で、サトルとナナの出会いの場面や飼い猫(と言うのは若干違うが)
になるくだりでこんなに猫の気持ちがわかる人間が「自己都合」で
里子に出そうとするかな?と言う点から結構早い段階で先が読めてしまった。
まあ、結果は「やっぱりな」でしたが。

上記で「読みやすい」と書いたので矛盾するのですが、
ここまでベテランさんになったのなら正直、もう一ひねり、重いテーマとかを
扱った作品をそろそろ出してもいいのでは?とも。
読みやすいし、猫好きにはかなりの高評価を得れると思う反面、
やっぱりそこそこの本を読んでいる人間には「やっぱり、ラノベ作家」
と言う評価を下されるのは仕方ないよなあ…と。
これを持ち味として最後までキープするなら読者もあきらめますが、
万が一「賞レース」に参加したい気があるのなら、やっぱりもう少し
「深み」「重み」と言った調味料を加味していただきたいかな。

ところで、表紙のイラストと「サトル」と言うネーミングに意図は有るのかな?
あと、文中で「コロボックル」と言う語彙が出てくるのと。

『子猫物語』のチャトラン。映画、見に行きましたね~~なつかし~
近同世代だから通じるネタもありますが、そうではない若い世代には
「?」かな。

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