長編なのかな?と読み始めたらすぐに一話目が終わってしまい
「あ、短編かあ…」と。
でも、2話目もすぐ終わるので「ショートストーリーかあ」と。
けれど次の作品を読んでいくうちにいわゆる「オムニバス」形式であることに気が付き「次はだれが主人公になるのかな?」と推理しながら読み進める。
ある話なんて前作の中では一瞬の登場なのに次話ではヒロインだったりと
様々な年齢、職業、背景のてんこ盛りで色々な立場の人間の一瞬を切り取って
見せられた様。
この話に出てくる登場人物は前作と違い、都会のバリキャリのどこか人を
見下したような性格の人は一人も出ず、むしろ幸せそうに見える裏では
泣いていたり…とどこにでもいる人、あなたの隣にいる人状態。
個人的には収録中の『名もない星座』が良かった。

ちなみに『独立記念日』の中で
「一言で言うと、会社とか家族とか恋愛とか
現代社会の様々な呪縛から逃れて自由になる人々が主人公の短編です。」
「この本によれば『自由になる』ってことは結局
『いかに独立するか』ってことなんです。ややこしい、いろんな悩みや苦しみから」

と、作者自身が登場人物の口を借りて語っている。

ところで『いつか、鐘を鳴らす日』でフロントウーマンがこんな事を語っている。
こういう仕事をしていると、本当に様々な人に出会うことになる。ただし、ベイエリアの高級ホテルに泊まりにくるような人々はこのフロントにやってくる時点ですでに「ろ過」された人々だ。
最近では一目見ただけでその人の生活環境を憶測できるようになった。
年収はいくら位か。(持ち物で見当が付く)
海外のホテルに泊まったことがあるか(チェックインのマナーでわかる)、
家族に大切にされているかどうか(女性ならば手やネイルを見れば余裕があるかどうか感じられるし、男性ならばネクタイやシャツがピシッとしているかどうか)。


当たっていたらそれでいいけど「見当違い」で軽んじた待遇をされたらいやだな、と思ったあたり。
やっぱり基本はどんな人(身なり)であれ、差別のない接遇をするのが筋ってもんじゃないですかね?プロならば。

コメント