読めば和菓子が食べたくなります(ちょうど、ひな祭りだし)
けれど、それだけ。斬!
せめて表紙の和菓子の写真を作中の和菓子にするなどもう一工夫欲しい。

作中の和菓子職人である兄:晴太郎と弟:幸次郎のキャラの違いとして
のんびり者の晴太郎は総左衛門(家主)がほんの少し苦手だ。
ほっそりして小柄だが、京の出を思わせる典雅な所作に切れる頭、
どんな時も揺るがない信念で、自分を一回り大きく見せてしまう男だ。
何の気なしに口走った事を厳しく掘り下げてくるから、
その場その場、つい相手に合わせてしまう性分の晴太郎なぞは、
相槌一つ不用意に打てない。
弟の幸次郎は清太郎と違って総左衛門と気が合うようで、
総左衛門も商い上手で頭のめぐりも良い幸次郎に目をかけてくれている。


私もこの「その場その場でつい相手に合わせてしまう」性格だったので、
それで痛い目に遭ってきたわけですが、自分で飲食店を開いた友人に言わせると「どんな味でもいいって人は店が持てない。『これ!』と頑固に自分の味にこだわる、こだわりを持つ人しかなれない」と言われたことがあるのを思い出した。
要は「ぶれない」人じゃないとふらふらとなってしまうから。
なのに本文ではこんな人が和菓子を作っている。
一方、作る才能は無いけれど商い上手の頑固者に書かれている弟の方がよっぽど
一つのものにこだわる性格に思えるのですが…(昔の女の執着する描写など)
性格設定にちょっと無理がある気がするのですが。

けれど一般の生活において誰しも「相手に合わせた会話」をしているものだと
思うのですが…
それこそ自我を張った自分の「正しい」意見を言い続ける人と付き合うのって
正直疲れませんか??
その一方で何をしゃべっても何を聞いても「さあ??」とはぐらかす、会話を成り立たせないような事しか言わない人とも付き合いきれませんが。
それこそ「相手を傷つけないウソ」で成り立っていると言っても過言ではない
日常会話。特に「ママ友」なんかねえ…
それをイチイチいい年して「あなたはあの時こう言った!」とか言って
引き合いに出してくる人も大概にして欲しいんだけど。
「その場のノリってわかりません?」とかマジ切れして逆に幸次郎的な
スパッと相手を切り落とすような捨て台詞を言えたらどんなにいいか。

総左衛門にあることでこういわれる晴太郎。
あちらこちらにもいい顔をして、波風が立たないようにする。
それはあちらこちらの為を思っているんじゃない。
お前自身がイヤな思いをしない様に。
厄介を背負い込まずに済むように、だろう


誰が喜んで仕事でもないのに厄介ごとを引き受けるってんですかね?
寝言も大概にしろって~の!怒

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