へ~珍しく「映画界」についてかあ~と思いきや、しっかりミステリー。
しかも本作で「映画」として取り上げている題名が『厄災の季節』。
これが出てきた時「あれ?」って思ったら案の定、「このミス」に応募して
一つは『さよなら、ドビュッシー』で出版、もう一冊が原題『厄災の季節』であり、改題して『連続殺人鬼 カエル男』として出版されたのだから。

自分の作品を別の作品内で映画の原作として使っちゃうって。笑
まあ『カエル』はグロイからいくらなんでも現実に映画化は無理だろなあ…

ところで原田マハの感想でグタグタにこき下ろしましたが、中山さんは
文中でこう書いてます。
p109
「一言で言えば素人が増えたんだよ。素人評論家、素人人権家、
それから素人監督。昔は評論にしても相応の教養や経験が無ければ名乗ることもできなかったが、今は面白かった面白くなかったの印象を書くだけで評論家ヅラができる。そしてそういうヤツに限って相対評価しかできないのに星を並べて
絶対評価したがる。(中略)
挙句の果てには自分でブログを開設し、タダ同然で借りてきたレンタルビデオの
感想を書き散らして悦に入るのもいる。」


こうやって自分の作品内で自分の気持ちを登場人物に代弁させるところに
私は原田マハよりも「面白い」と思うわけで。
しいて言えば原田が「道徳の教科書」で「みんな信号を守りましょう!」と
いい子ちゃんに対して中山氏は「車が突っ込んでくるのが見えても、赤ならじっとしとけって言うのか!!」と毒を吐く感じ。その毒が「なるほどな」と
思えるからこそこうやって引用も多数出てくる。
ただずらずらと出来事を書き並べている原田作品には引用する部分もない。
けれどそんな原田作品を「面白い!」と今の子が評価するのは、これが原因かと。
P147
「今時仕事に命燃やすだなんてアナクロもいいとこ。
あのね、映画屋さん。ご存じないようだから教えてあげるけどね、
今の子たちはね、そーいう暑っ苦しいのは大嫌いなの。
巨匠が命を削っただとか、何百人もの思いが込められているとか、
そーいう重たいのは流行らないのよ。
もっともっとスタイリッシュで、軽くて肩が張らず、
泣かせて欲しい場面で思いっきり泣かせてくれるようなわかりやすいのがいいの。」

まさに、原田作品!

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