既刊の「お気楽モード」を吹き飛ばすような一転した真面目モードの一冊。
正直このシリーズでこの巻が一番小説としては良かった。
真面目で礼儀正しく穏やかで実直でお人よしだった久城君が戦争によって「愛する者」と強制的に引き裂かれ、一見立派な青年に成長したように見えるのに「残してきた」ことに対する罪悪感と焦燥感、不安、自分が子供であることに苛立ち…と瑠璃姉さんの前で慟哭する場面は今までにない性格描写に胸が締め付けられた。

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