題名と表紙のイラストからつい錯覚しますが、料理教室で教えてくれるのは60歳代の愛子先生。笑
まあ、若かりし頃の愛子先生のイメージなんでしょうが…
あと、裏表紙にかけて人物が3名描かれていますがこれ4人「男性」の生徒の話なので後ひとり「佐伯さん」が描かれていないのはなぜ?
と、ついイラストの方を突っ込んでしまいました。
と言うのも、4話の内一話目は30代の超奥手の建築家の話。2話目が30~40代のフランス人パティシエの話。3話目が姉の為に女装している大学生の話。
そして4話目が50~60代の佐伯さんの話で私には佐伯さんの話が一番興味深かった。
と言うのも、ある日妻から「料理教室に通ってちょうだい」と言い渡され素直に通う佐伯さん。妻とは見合い。そんなに相手の事を深く考えたことなかったけれど、生徒の一人に「奥さん、もしかして離婚を考えているんじゃ…」と指摘され
戸惑う。
そして終盤妻が倒れて入院した時の会話。(ネタバレですが…すみません)
「もし、ほんまに離婚するつもりやったら、わざわざ料理教室にかよわせるなんて、親切なことしいひいんよ。」
柔らかな口調で言うと、妻はにっこりと笑う。
「なあんにもでけへんまんまで家を出て、せいぜい困ってもらわんと」
その笑顔を見て、佐伯は背筋がぞくりとした。

最後の妻の一言、常に私が夫に対して思っていることだから。笑

佐伯さんは妻の入院に関して診察券がどこにあって、着替えはどこにあるなどち~~~~っともわからず右往左往。
うちの夫もゴミ袋がどこにあって、予備をどこに置いてあってと言った日常の事が全くわからない。全て私がしている。ああ、同じだあ…と。
そういった意味もあるのか4話目の題名が『日常茶飯』。
ご飯って当たり前の事。座れば用意されている。意識なんかしない。
でも、無かったら困る。初めてその大切さを知る。
そんな意味も含まれているんじゃないのかな?
だからもっと妻を大切にしろよ!!

全体的にポプラ社から出ていることもあるし、児童書作家が一般向けに書いているのでかなり違和感と言うか尻のすわりが悪い「白河の清き水」ではないけれど
「田沼の泥水」にどっぷりつかった40女には物足りないというのが本音の一冊。
中高生でも読める内容なので読者ターゲットがあいまいゆえに「誰に本当は読んでもらいたかったのか?」とお尋ねしたい。
読みやすいけど、毒が無いから安心だけど、それだけじゃやっぱり物足りない。
きれいごとは小中学生の時にしか通じない。
ああ、やっぱり私は年相応にひねくれてるんだろうなあ。笑

コメント

ねこって
2015年7月24日18:22

「妻」を「ヨメ」に変えたらそのまんま私の心情と一緒だわ。
ご飯って当たり前の事。座れば用意されている。意識なんかしない。
そしてちょっと遅くなると怒鳴る、ってのも追加しておくわ。
何様よ?って思ってる、私。
いなくなったら、きっと困るよねぇ?ふふふ・・・←黒ねこって降臨(笑)

涼女
2015年7月25日10:39

居なくなったらさぞかし大慌てすることでしょう。ふふふ…
陰でこっそり見ていたい気分。
息子君たちの部活とか学校関係が無ければ一週間ほど実家にでも行ったらさぞかしありがたみがわかると思うんですけどねえ。
いや、一週間程度だと汚くするだけして、帰宅したらさっそく掃除が待っている…というパターンが想定されるので一か月、二か月…そして永遠。笑