人間の医者志望だったのに親に強制的に家業=獣医を継ぐように言われ、患畜に愛情を持てない男。その娘が亡き母の代償として可愛がっていた猫さえも非情に安楽死させてしまう。よって、娘は心を(当然)閉ざし、はては生きる気力すら無くし生きるしかばね状態。それでもなお、自分の進路を救ってくれなかった「神」に対して素直になれない男。
と、猫が出てくる割にどっちかと言うと「宗教」がベースにあります。
とはいえ、それを強要することも無くただただ「信仰、信じる、愛情」と言ったものを男を通して伝えている感じ。

嫌々獣医になっているから患畜に対いしてこんな風に思って治療している。
さまざまな病状を自分に訴えに来た患者たちが並んでおり、自分はその病魔と闘って苦しみを取り除いてやっていたはずなのに。
ところが現実はと言えば、順番を待っているのは、クンクン、ミャーミャー、キャンキャン甘ったれた声で鳴く、わがまま放題に育てられたちっぽけなペットたち。
甘えられていい気分になりたいために、あるいは自らの子供を産み育てるのが面倒だったり、親となるには自己中心過ぎたりする人間が、行き場のない愛情のはけ口として飼っているに過ぎない存在。


また、片親になって娘の愛情が父親よりも猫に向かっているのが許せない!と嫉妬している男に対して牧師の友人はこう説く。
そういった際立った悲しみや苦難を乗り越えなければならん時こそ、父親と母親のどちらもが必要となるのだ。父親の強さ、母親の優しさと女らしい思いやり。その両方が無くてはならない助けとなり、見事に結びついて防波堤となってやってこそ、子どもを襲う嵐を撃退できるのだよ


獣医さんが動物嫌いって考えたことなかったな。

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