名著『動物のお医者さん』をイメージすると痛い目に遭う。
『動物…』は獣医を目指す若者&変わった先生と言うキャラに非常に癖がある「読み物」なのに対してこちらは獣医を目指す学生までは同じなのに
「動物愛護」と言うテーマが絡んだ為に重苦しい。
理想と現実のはざまで苦労する学生たちの姿が浮かび上がる。
「獣医を目指しているんだから…」
「獣医を育成する大学なんだから(その学生なんだから)」
と言った世間(大人)の自分勝手な言い分に押し切られ
「動物が好き!」「助けたい」といった純粋な気持ちを
良いように利用されているとしか思えない。

しかも治療に充てる費用は自腹
多分世間一般では「大学の病院で見てもらえるんだからただに決まっている」
と言った思い込みでどんどん動物を持ち込み、
「渡せばどうにかしてくれる」とどこまでも他力本願。
自分の手で殺傷処分にするのはいや!
だから大学の側に捨てたら学生がどうにかしてくれるかも…
そんな気持ちでどんどん持ち込み、後は知らん顔。

また、ペットが逃げ出したのにそれを探すすべを知らない飼い主の
多い事と言ったら…呆
最低、警察&保健所&近所の獣医そして動物を扱っている店があれば
問い合わせの一つでもすればいいものを…

読んでいて思うのはどれだけ学生がそれこそ勉強時間やあらゆるものを
犠牲にして救って世話をしても
飼い主の心構えが低すぎる人間(大人)が多すぎる
と言うこと。
「最後まで面倒を見る」と言う強い意志と時間そしてお金。
これらが無い人間がペットを飼うな!!!!怒
あ、愛情もだ。

華やかなペット産業の陰に捨てられ、ツライ思いをしている動物が
多数いることをもっと知るべきである。
偶然手に取ったとはいえ、自分の今の状況にどんぴしゃり!な内容だけに
この本が発行されて数年たっているので学生たちの立場が少しでも改善されて
居ることを心から願う。

それ以上に「獣医学部」があるのなら、これほど実践的に動物と関わりあえる
状況を利用すると言う考えを持たない大学の姿勢をどうよ?と
思ってしまった。
授業で「行動学」の知識をえらそうに述べる暇があったら
実際的に動物がどのように行動しているのか教授こそが知ればいい。
「犬部」を設立した学生があまりにも誉められた生徒ではなかったとは思うが
それは「学生ゆえの青さ、世間一般の常識を知らない」のだから
もう少し大らかな目で見て、サポートしてやればいいものを。
子どもに物を教えるのが大人の役目ではないのかな?

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