自分の地元が嫌で大学を期に家を出た主人公。
10年経って会社の都合で急きょ地元で仕事をすることに。
地元はチョコレート工場があって24時間チョコレートの匂いが漂う。

チョコレートの「匂い」が漂うのっていいなあ…と思いがちだが
それが24時間寿司を食べていても、刺身を食べていても何を食べていても
チョコの匂いが漂うと、それはもう「臭い」にしか感じられず。
そう感じる主人公だからこそ外に出ることを切望し、
一方「え?そう?ニオイする?慣れちゃった」と言う鈍感な母親たちは苦にすることも無く
平然と食事ができる。
また、食事だけでなく父親が「早期退職する」と言う発言に対していも「あ、そう」で済ます母や「退職祝い、スリッパでいい?」と言う兄。
そんな「気の利かない家族」と過ごすのも故郷に帰りたくない理由の一つ。
とまあ、よくある「ここから出たいんだ~~~~~」と言う人、
「え?なんで出るの?地元で十分ジャン!親の面倒も見ないといけないし」と感じる人、
そして「出たくても出れなかった!!!」と言う人。
大体、この3種類の人に分別できるんじゃないのかな?今の日本人。
なので、読者がそのどれかに該当するかによって、感じ方が受け取り方が違うと思う。

「チョコレート」という一見甘い雰囲気を漂わす存在なのに、
実際は甘かったり苦かったりと一筋縄でいかないこの「小道具」をうまく
利用して書いているな~と思った一冊。

『君は故郷を愛しているかい?』

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