時代物短編集

坊主の壺
お文の影
博打眼(ばくちがん)
討債鬼(とうさいき)
ばんば憑き
野槌の墓(のづちのはか)


どの話も「人知の及ばない」不思議な話。
全体のトーンとしては暗め。
以前、長編か何か別の話で出てきた人たちがちらほらでてくる。

『お文の影』はラスト泣きそうになった。
『博打眼』は「餓え」とはなんと恐ろしく悲惨な事か。
『討債鬼』出てきた主人公が以前出くわした「鬼」の話と先日読んだ
唯川恵さんの『雨心中』で「カオル」が出会った鬼と「同じ」だと思った。
全く別の人が全く違う作品で「同じ種類の鬼」=女を喰らう(性奴として弄んだ挙句女は精神に異常をきたすか自殺する)の描写がある(時代背景は全く違うのに)ものすごく嫌な気持ちになった。
『野槌の墓』で思ったのは人を殺したことのある「道具」がその後、そのことを
「気に病む」と言う視点。人が人を殺した場合「感情(主に後悔であって欲しい)」が生じるのは当然だと思うが、その「人殺しの道具として用いられた道具自身」に「人を殺したという消せない傷」を抱えて、ひっそりと暮らしてきたのにそのことを思い出したために「道具」が精神を病んで再び人を殺めることをしてしまう…さらに「悪化」しない為にも「人間でない者」達が「殺してやってくれ」と頼む、と言うどこかせつない話。
付喪神(つくもがみ)の事を知っていたら「納得」できるんだよなあ…
今だったら「人を殴って殺した凶器」として警察署に保管されているかもしれない「元:道具」だって「人を殺すために使われたくなかった!」って思ってもいいんじゃないのかな?とふと思ってしまった。

ところで、宮部みゆきと永尾まるさんとコラボしてくれないかな?
めっちゃ感性的には似ていると思うし、絶対に成功すると思うんだけどな。
http://www.amazon.co.jp/%E6%9C%AC/s?ie=UTF8&field-author=%E6%B0%B8%E5%B0%BE%20%E3%81%BE%E3%82%8B&page=1&rh=n%3A465392%2Cp_27%3A%E6%B0%B8%E5%B0%BE%20%E3%81%BE%E3%82%8B
ラストに猫も出るし、狛犬さんだっていい感じに描いてくれそう。


短編集:収録作品

1、雪娘
2、オモチャ
3、チヨ子
4、いしまくら
5、聖痕


表題作の『チヨ子』はネタばらしをすると「ウサギのぬいぐるみ」の名前。
ウサギにこんな名前付ける????と違和感大だったのですが、そこは
文庫本の特典=解説付きの為、謎が解ける。
しかも他人さんが解説を書くのではなく、解説者が作者に直接インタビューしたものが掲載されているという特典(?)。
チヨ子=亡くなった伯母さんの名前だとか。…そんな理由で…汗

ところで、この表題作について感想を述べるとしたら
話の内容をぶった切って説明するとしたら、キグルミのバイトをしたらなぜかその目を通すと他の人までがぬいぐるみだったり、ガンダ×だったり、メンコの様な薄っぺらいものに見える。それはその人が昔大事にしていたものの姿になって見えるというもの。

子供の時に大好きだった玩具。
夢中になって、何時間でも一緒に遊んだ相手。添い寝して夢の中まで付き合ってくれた。大切な大切な空想の友達。

ぬいぐるみでは、一番人気はパンダのようだった。
大人のお客さんたちのぬいぐるみはほとんどみんなが、どこかしら
傷んで汚れていた。手が取れていたり、耳が切れていたりするものも多い。


私も例にもれず「ぱんだのぬいぐるみ」です。笑
やっぱり連れてきてますね。この家に。確かに表舞台には飾ってませんが、
できることなら「お棺」に入れて欲しいものの一つです。

作品ではこれだけ多くの人が「思い出」の物を纏っているのに、
纏っていない親子が出てきて、それどころか彼らの背中から黒いものが生えてきている…と言う気持ち悪い話。

あの母子の背中にくっついていた、不気味な黒い物。
世の中に漂う、悪いもののことを。私たちは誰だって、それに憑かれる危険があるのだ。そして悪い事をしてしまう。
でも、ほとんどの人がそんな羽目にならないのは、身にまとっている着ぐるみや
玩具たちに守られているからじゃないのかな。
何かを大切にした思い出。
何かを大好きになった思い出。
人は、それに守られて生きるのだ。
それが無ければ、悲しいくらいに簡単に、悪いものにくっつかれてしまうのだ。


この文章を今打ちながら、そういえば今の子って何でもすぐに買ってもらえる環境じゃないですか。飽きたらポイ!飽きたらポイ!の繰り返し。
もしかしたらこんなことがだんだんと冷たい人間を作り出しているのかも、って。
一つの物を最後まで、それらと自然と別れが来るまで側に置いておくってことが無いのは一種の不幸かもしれない。お守り=心のよりどころが無いってことだから。

まあ突っ込みどころとして、なんで5年前にこの着ぐるみを着た「田中さん」には見えなかったのか不思議だし、できたら田中さんの身内が過去に着ていたけどバイトを終えた途端人が変わったかのようにまじめになった…とか、この主人公も悪い方に転びそうだった時にこのバイトをして思い直した…と言ったエピソードの方がなぜ主人公だけ「見えた」のか説得力があると思うんだけどなあ…

最後の『聖痕』は後味悪すぎです。いつも読後感に「ほっとする」とか「丸く収まる」的な感想を期待すると痛い目に遭います。けど、今の世の中「ありえそう」な話だけにこんな短編ではなく、長編で書いてもおかしくない作品かも。



以前、こちらを読んでます。
http://75552.diarynote.jp/201101072125297012/
が、その時もあまりいい感想を書きませんでしたが、今回も似た感じ。
前回の内容をすっかり、こっきり、全く、全然「覚えてません」。
自分の感想を読んで「ああ、なんとなく…(コンパルを教えくれたおじさん、とか)」位なもん。

読書感想とは全く違う観点で気になったのが、この本いかにも「大人」がターゲットの出版社からの発行なのに、ど~~~~~~~~~~~~~~~して
こんな小中学生向けの様な表紙イラスト なの????????
なんか大した作家じゃないから、全然力入れてプッシュする気がありません って編集者に見られてる?

この出版社じゃなく、ターゲットを中高生で絞っているとこと契約できなかったんだろうか?って思うんだけど…
ラノベにしたら文体がくそまじめでつまらないんだけど、でも雰囲気的には
児童文学系じゃないかな?
内容、展開ともに「お約束通り過ぎて、新鮮味が全くない」ことは確かだけど。
それでも「自分がどうしてそのスポーツをし続けているか」って悩んだ時に
ヒントぐらいにはなると思うんだけど。

文章は読みやすい。でも、特徴&個性があまり感じられなくて2流どころに落ち着いてしまう感じ。
これを書いた時はスケートブームが起こっていて、その内情とかを紹介する「ルポ」的な雰囲気を纏っている感じがして「小説なのにルポ」=「読み捨て」
扱いになぜかなってしまうんだよなあ…
この本は私より次男が高1の時に読んでいたらもっと英語の点数がアップしていただろうなあ…としみじみと思って暗くなった 一冊。

書いてあることを忠実に疑うことなく、実行したらある日すこ~~んと
晴れた日がやってきそうだなあ…と読みながら思う。
英語から離れて20年経って、完全に脳のしわが無くなってつるつるの状態の今、習ったことが完全に記憶に残っていないので「初めて習う英語」状態に対して、今現在「学生」の身分でいれば自分の意志とは関係なく週何回かは英語に接しているし、加えて連続してそれを習っている状態なのです~~~~っと入るはず。こっちは完全に一から単語から覚え直し。
しかも、記憶力、忍耐力、体力ともに0に近いのだから苦労は倍増!

加えて!!
軽度老眼になってくると、あのちいさ~~~い字を見ることがどんなに困難な事か!
センセイも進めている電子辞書を買った方がいいんだろうなあ…
でも、どうしても紙の辞書を使いたいんだよなあ…私。
で、書いてあるように「脱線」して、なかなか本来の探している単語を見つけることができないんだよなあ…
この先生、痛いほど、生徒の特性を理解している人だ…

あと、2通りの例文を上げていて「どちらが解りやすい?」と質問があり
「2番だなあ…」と思っていたら案の上「大体の参考書は1番で書かれており、
よりり理解しにくい、例文を上げるのが特徴」とのこと。
確かに。2番の様にスッキリ、はっきりぽっきりの例文だったら理解しやすい。

そんな風に、大人の目から見ても「わかりやすい」と思えるような
学習方法が掲載されているので、もしこのブログを見た中高生がいたら
図書館もしくは中古屋でこの先生の本を買って、一回目を通して見ることを
お勧めする!
本文にも「思い立ったら、すぐにする!」と書いてあるので、予備校のセンセイのパターンは「いつやるの?今でしょう!」なんでしょうね。

グズグズ明日に、明後日に…と引き伸ばしている間にやる気がどんどん失われていきますから。
問題集&参考書を買ったその日が「一番、やる気がみなぎっている!だから
できるだけその日のうちに数多くの問題を解け!」という説もものすごく納得です!
この人は結構たくさん英語の本を出版されている模様で。
有名な方ですか?
毎日ちょこっとでいいから英語に触れる為にはスケジュール帳、日記などを
書くのがよろしいらしい。
また、メモ程度なので文法にこだわらず気軽に書くことが大切なのだとか。
慣れてきたら、日記ならどんどん長文にしていったいいことだし。
まあ、わかっちゃいるけどなかなかできないんですが、できないと言わずに
「そこ」からなんでも始めなきゃね~

そういえば別の本か何かでも、風呂中で一日を思い返してそれを
英語にする訓練、と言うのがありました。
風呂に入る=毎日すること、なので毎日することにさらに関連付けて
風呂=英語になるように習慣付けるのがポイントだとか。
時間を有効に使うのはこんな知恵も大切、みたいな話だったかな?
これ、めっちゃ役に立つ!!!!!!
動詞と形容詞の使い方の違いを分かりやすく説明。
例えば、英作をしていて「この語とこの語の違いは??」と悩むこと多数。

「話す」でも
speak talk tell sayとどの状況の時にこれらを使い分けるかを説明してくれている。

形容詞では、まあ、なんと笑える例文が掲載されていることか!笑
例えば「怖い」でも
terrified horrified frightened scared afraid calm relaxed serene
恐怖におびえる→ 恐れおののく → ほっとした
と段階を分けて説明してくれている。

the only thing Ryuta is afraid of is his wife.
竜太の恐れるものは、彼の妻だけである。


今の10代だとピンとこないけど、竜太の名字が「峰」だとしたら
めっちゃわかりやすい例かと。笑
今なら Makoto  に置き換えたら通じるかな。(野々×)

結構「毒」のある例文が掲載されていて、勉強になります。笑

買って手元に置いておいた方がいいかな。
一回読んだだけでは覚えきれないし。
なんか気持ち悪い…
昭和の時代を感じる…とでもいうのか…
淫靡な闇の様などすぐろ~~~い不快感たっぷりの読後感。
多分、芳子の話し方が古臭いので昭和臭を感じるのだろう。
そして最近ラノベという「かる~~~~~~~い」文体に毒されている
割合がいかに高いか、という事かも。

芳子と周也と言う血のつながりは全くないが施設で姉弟の様な関係だっただけで
大人になってもず~~~と一緒に暮らしている設定。
そこに男女の関係、感情があれば少しは理解できるのにあくまでも「姉弟」。
実際周也の方は別の女と結婚したい、と言って別居することもある。
けれど、全編「不幸」「負」しか書かれてなくて、どこまでも「不幸」に
なるしかない話(元々は『小説現×』に連載ではなく短編掲載。多分、雑誌で
この話を読んでもちっとも面白くないと思う。全編を通して読んで初めて
一つに繋がる構成。けど、なんで連載じゃなかったんだろう?暗すぎ?)。
姉弟に少しでも「好意」を見せた人がことごとく「不幸」に見舞われるって
どんだけ疫病神なんだ?コイツら?って感じ。

そしてだんだん芳子の周也の接し方を見ていると
散々甘やかして育てたバカ息子を溺愛した挙句、息子がひょんなことから
人を殺して母親に泣きついたら「ママが何とかします。あなたは悪くない!」
って感じでその死体をバラバラにして捨てる…みたいなあの感覚。
そう、姉ではなくどこまでも息子をダメにしていく母親そのものであることに
気が付く。
本当は芳子自身が「一人になりたくない!」と言う気持ちがあるのに
言えずにそれをうま~~くごまかして結局周也と言う男もダメにしていく。
なんか、蛇が体に巻き付いて徐々に力を入れて絞め殺していくイメージ。
印象に残らない平凡などこにでもいる女=芳子 なのにやることえげつないというかあんたが一番どす黒いのと違う?と。

もし、芳子が施設を出た時点で周也との関係を断ち切っていたら
周也も初めは泣き狂ったとしても「世の中、自分の思う通りにはならないこともある」という事を学習したはずなのに、それを身に着けることなくひたすら
芳子と言う存在に甘え、頼り切った挙句がこの結果、って感じ。

優しそうな雰囲気でいい人ぽいのは仮面で、どす黒いよ、アンタ。

何気に借りて、見開きの著者が手のひらをこっちに突き出して笑っている写真を見て
「あ、コイツ、いて座かも…」と思って巻末プロフィール見たらビンゴ!
12月5日生まれ。そっか、おいらと1日違いだ。
この能天気さあふれる笑顔は「真正」いて座そのものだ~(私は「陰性?」根暗ないて座)
と言うわけでこの人が「手相」にはまった経緯が手に取るようにわかる。

元々仕事で知り合った「原宿の母」に弟子入り。それはそれは千差万別の「手相」を見るサンプルには事欠かず、また解釈もさぞ勉強になった事でしょう。
かくして膨大なサンプル入手に困ること無く、さらに芸能界と言う特殊な世界に生息している「変わった手相」「めったに無い手相」のサンプルがどんどん入ってくるポジションだと膨大なデーターとなった事でしょう。
見てもらう方も「何気に」見てもらい結果もそれほど「この人が言っていることだし~」と特に気にも留めずに外れても笑って許される環境だったので
どんどん数をこなす…という訓練ができた事でしょう。
私も講習を受けた時、有名人の手相のコピーを見ましたが、「こんな手相、
あるんだなあ…」と言うものばかりでした。
さすがに「名前が残る人」」や「名前を知っている人」ってものすごく面白い手相してました。
これが「普通の人」ばかりをサンプルにしていたら線の意味を理解するのにかなりの時間を要すると思います。
なので、何年も手相占いをしている人よりもこの人の方がさっさと本を出したり「当たる」とか言われるようになったんでしょう。
元々占いと言った神秘的なものに興味があるいて座に、探求の火が付き、研究を重ね、それを人に教えないときがすまない…みたいな感じ?
そこは人馬宮の上半身人間の「知」の部分で、
きっと「手相見てあげるよ~」と女性の「手に触るチャンスをゲット!」
と言う下半身馬の「欲」にまみれた下心もちゃっかりあるかと。笑
ああ、やだ。同じ星座だと思考回路が手に取るようにわかるよ…


ところで、本書で「あれ???」と思ったのが
手相はどっちの手で占う?   左手です
左手は今現在 右手は生まれつきの資質を現すとされます

の部分。

じゃないっすか?解釈。
左が生まれつき、右が現在って習いましたが。
まあ、私の場合圧倒的に「左」がいいので、ありがたかったのですが。

あと「仕事の○○度がわかる手相3線」と言うのがありまして
「占い師度 チェック!」を見ると
①仏眼=霊感や並外れた記憶力の持ち主。幽霊も見える?!
②神秘十字=直観力が抜群
③ソロモンの環=目に見えない物に惹かれる傾向がある

1つあれば→趣味の占い師さん!
2つあれば→街角の占い師!
3つあれば→行列ができる占い師!

とのことで、上二つはあるし最後のソロモン環は半分あるんだよね…
なので2つ半ってことでどうでしょうか?笑

「作家度チェック」では
①ライター線=文才がある
②夢見る乙女線=空想力豊
③神秘十字=インスピレーションが抜群

1つあれば→ゴーストライター
2つあれば→売れっ子作家
3つあれば→直木賞作家

との事で1つあるんで誰かゴーストしますんで声をかけてください。笑

そして現在の仕事である
「主婦度 チェック」では
①あげまん線=夫の運気を上げる
②良妻賢母線=生活力がある
③幸せ婚線=結婚のエキスパート

1つあれば→幸せな家庭を築ける
2つあれば→人が羨む奥さん・旦那さん
3つあれば→スーパー主婦!


との事で2つある。
さて、今から仕事に就くなら「占い師」が一番「向いてそう」ですが
人の悩みを聞いて自分にストレスが溜まるのは嫌なので
ゴーストライター兼主婦と言うラインを狙ってみます!笑

けど、主婦に向いていて良かったよ。
あんまり印象に残らない題名だったので借りましたが、数ページ読んで
「ああ、読んだことあるわ~」と。
http://75552.diarynote.jp/200902081727254392/
この時も書いたように、母と娘の精神の取り換えばや物語。
『秘密』や『スキップ』と同系。
結論的な事も一番近いのが『秘密』かな?

そして今回も不快だったのが、17歳の実の娘の肉体を使って、付き合っていた30代の男とセックスしようとしたり、仕事を回してくれていた50代の社長
と『挿れない』セックスをしてみたり。

あと、男子高校生の生態が妙に「古臭い」。
喋り方があまりにも時代に合ってなくて、余計に違和感。
「君、よしたまえ。いやがっているじゃないか」みたいなあの系。笑

それと推薦試験が「英語、国語、数学」って…
一体何系の大学を目指していたのか、さぱ~り。
卑しくも47歳の柊子は「プロの翻訳家」。
英語は満点取らなきゃ嘘だし、翻訳するのに国語力だってあるはず。
問題は「数学」だけど、文系なら社会じゃないですか?
今なら推薦してもらうのは普段の成績で選考されて、当日の試験ってよっぽど
じゃない限り…って感覚ですが。
それに、推薦堕ちたからって一般は「難しい…」という事でじゃ、なんでもっとランク下げた大学に行かないの?って。
「大学行けないからロンドンに行く」って…意味不明。

元々が『週刊朝×』に2004年から2005年にかけて掲載された物らしいので、古臭さが感じられるのは仕方ないし、高校生が誘って来たらホイホイと
乗ってしまう男の悲しさは読者層を意識しての事かも。
その裏側に47歳の精神を持った17歳の母親の柊子の方が「子ども」で
行動も常識外れに対して
17歳ながらも47歳と言う肉体的に魅力が衰えた…と世間ではとらえられがちなのにかなり「魅力的」な人物=すべてを受け止め、47歳として生きて行こう!この人を愛して行こう!と強い意志と愛情にあふれた像として書かれている。

絶対、17歳の肉体をもつ柊子より47歳の肉体を持つ美羽の方が好感を持てるし、好ましいキャラクターになっている。
現在45歳の私でさえ、柊子のキャラに「不快」と感じるぐらいなので
それ以下の年代の読者が読んでも評価は低くなると思う。
12年もの長い間離れ離れになっていた母娘。
最後の方の美羽の方が明らかに「母親」として言いうであろうセリフ
「母娘だから言っているのよ。娘の将来を犠牲にするなんて、
そんな事母親ができるはずないでしょう」
「行きなさい、ロンドンに。あなたの将来が待っているところに」
「私には深尾さんと言う人がいるってわかったんだもの。これからは
あの人を信じて行くから」

と、17歳が発しているとは思えないほどのセリフ。
逆にこのセリフが47歳の柊子から美羽に言えるか?と言えば
絶対に言わない・言えないと断言できる。

柊子は結婚にも子供を持つにも「ふさわしくない」人物として最後まで
印象が残ったキャラでした。
以前ここに書いた
http://75552.diarynote.jp/201305190718075534/
と同じ訳者の作品。
原作者が違って訳者が同じ場合、果たしてどちらに実力があるかわかる気がする。
訳す方も原作がしっかりしていたら楽だろうな、と言うのか今回の感想。

さて本作、ベースはあの有名な「白鳥の湖」。
言われてみれば、なんで白鳥に変えられたの?と。
こうやって「理由」があれば、「なるほどなあ…」と改めて思った。
さて、主人公はオディール。
本来は妖婦のような扱いで、純真可憐なオデットから王子を奪う役ですが
本作ではどちらかと言うと生真面目で内気、かつ魔法研究熱心という
「地味」系。
むしろオデットの方が性格がはっきりした女王そのまま気質。

父と娘の関係の葛藤をベースに折り込んで、今の時代に通じる味付け。
その一方で魔術師がやけにオデットに執着したかの理由も欲しかった。
かつ、自分の妻との関係も。
妻にこぴっどく裏切られた怒りが、他の女に対してこのような酷い魔法を
かけるに至った…みたいな感じのエピソードもあっても良かったかも。
娘を「物」もしくは「便利な道具」扱いするに至った心境とか。
原作を重んじすぎたために、魔術師のキャラ付けが薄かったような。

というわけで、うちの図書館にはこの翻訳ファンタジーはこれ以上
一冊も置いてないので読むことができないのは残念。

というわけで、今回もゲットしました。
(前半、後半の大きな流れ的な時しか買わない…)

表紙のデザインもかなり凝って(意味がある)作っているのですが、
正直「地味だなあ…」と言うのが本音。
もっと目立つ表紙の方が探しやすい。

ちなみに私の星座の「金運」は
この時期に約束されているのは「自力で稼ぐ収入運」ではなく、
「もらい物運」なのです。
裕福な家の子が裕福であるがごとく、裕福な会社や人物とコネクションを
持つことで収入は倍増へ。
収入運が上昇するのは6~7月。
「親しみやすさ」をキーワードに気になる人と交流を図るといいでしょう。


一方「支出」は
収入と同様で、支出の方も「付き合う人」によって増減しそう。
関わる人がリッチであれば収支のリズムに余裕が出ますが、
逆に家族などが借金を抱えたりしていると、それに伴いあなたの支出が
増えることになるケースも…

ですが、ご縁は全て引き寄せ合うもの。
責任を持って向き合う事でこそ運勢は好転します。



よし!できるだけ「金満オーラ」が出ている人と名刺交換(挨拶)しよう!
しばらく図書館断ちをする予定でしたが、「予約の本の用意が出来ました」の
電話一本であっさり踏絵を踏むタイプ。笑
だって、2月に予約して130人待ちの本ですもの!!蔵書数の多い本は回ってくるのが早いから助かる!それこそ今回の「おっさん」にもあるように

正しい事をしている人が嫌な目に遭って、間違ったことをしている人がのさばる世の中ですもの!
借りた本は期間内に返す!汚さない!破らない!線を引かない!…など図書館マナーについても今度書いて欲しいぐらい。

さて、今回はおっさんだけでなくその家族が取り巻く問題も書かれている。
一話目の嫁のパートの話は「うん、うん」と共感しまくり。笑
その中でちらりと触れられている「金を貸した方が遠慮して、借りた方が図々しい」図なんて今時よくあること。
「返せ」と言わないから返さなくていいと思った、ってこの考え方どうよ?!

二話目の本屋の万引きも他の人の本で取り上げられていたテーマですが
小さな書店にしたら死活問題。警備の為に人を雇うわけにもいかず、そうすれば
「あそこは盗りやすい」と言う噂が立ち悪循環。
万引きを捕まえようとした挙句、犯人が事故に遭い「追いかけなかったら死なずに、怪我せずに済んだのに」と泥棒の言い分が通る世の中。
しかも子供に「欲しいのなら、盗んで来い」と言う親…
もう、げんなりと言うかでも今の世の中きっとこの時もだれか似た事を子供に言っている親が増殖中。
見つかったら「お金を払ったらいいんでしょ」何か文句ある?って逆に言いがかりをつける大人。
5話目の「祭り」にしてもまさに「そうそう、金を出さないくせにお菓子だけ取りに来るやつ、いるいる」って思った。
町内会費払わないのに、払っている子供が列に並んでいると親が 「もらってきなさい」って言うんだよな~~
私が子供会している時もあった、あった。
はあ?ってアンタ違う町でしょ?って。
今時誰が「ただ」でお菓子配ってくれるねん?!
その一方でジジババが確かに町内に住んでいるけど、夏休みだけ参加してちゃっかり景品等を 奪って行く家とかね。
しかもそういう家に限ってジジババが過去に役員をしていて発言力&存在感があると来ると始末に負えない度はさらにアップ!
四話目のの「不法投棄」も昨今「あるある」。
本作では老人が「この地主は金持ちだから捨ててもいいだろ」と全く会話にならない持論を振りかざす。
「今時の若いもんは…」と言われて育った人間が年を取って「今時の老人は…」と成長せずに言われているんだなあ…
という事は「子どもに万引きして来い」と言う親に育てられた子は当然「万引きは見つからなったらOk]と言うのが「常識」となって育つのは当然。
なんか、空恐ろしいなあと。

旦那の目撃談によると、横断歩道で母親が赤で渡ろうとしたら5歳位の男の子が
「お母さん!!赤やで!!怖い!!」と言って立ち止まったら「ええねん!
さっさと渡り!!!」と引きずって行ったとか。
「子どもの方がまともや…」。
かと思えば100円寿司でジジイが店内で煙草を吸おうとしたら孫息子が
「おじいちゃん、ここ禁煙やで」と。ジジイ、煙草をひっこめたけど、
すぐドアの真ん前で吸い始めたし。
そこで吸われたら店に出入りする人間全員が「受動喫煙」の被害に遭うんですが…自分さえよかったらの典型。

面白い事に「それ、あかんで」と言いうのが「男」であり、
「ええやん、別に」と受け入れているのが「女」ということ。
娘と母親の密着度(普段から行動をよく見ている)に比例するのかな?
大型ショッピングセンターでベビーカーで幅を利かせすぎている最近の母親の行動も目に余るけど、あれが当たり前、標準として育ったらそりゃ「席をゆずる」ってなんのこと?って言う感覚で育つわな。

おっさんたちの様に注意するのが本来は「当たり前」で「当然」だったのが
今では注意すること自体が問題になりかねないという、ほんと、マナーの崩壊でより一層住みにくい世の中になっています。
今こそ「江戸しぐさ」を見直すべきなんでしょうねえ…

シリーズ最終巻
「やっと終わった。つまらん」と言うのが正直な感想。
たった六巻なのに訳者が3人も変るなんて。
しかも前巻の訳者のあとがきで
いよいよ次回がシリーズ最終刊!?アレックスの運命やいかに?!
私もそれが知りたくてうずうずしている。

と書いてあるのに、違う人のが訳している…
どれだけ「大人の都合」があったの?って感じ。

そして 最後の最後までイメージと全く違うイラスト
面白いぐらいに原作イメージ全く無視!の独自の世界観を突っ張らせたというか
イラストだけで別ワールドを展開させたというべきか?

話の内容も前回の感想の時に イヤミで「少年漫画のごとく世界観がどんどん広がる…」と書いた通りに今回は宇宙が舞台という…
「勝手にやってろよ」って感じ。
あいも変らず「自分は関わりたくない」と言っている割に全く行動が伴っていないし。
そもそも、なんでコイツに携帯を持たせないのか?とか体にGPSでも埋め込んどけ!!!と突っ込みどころ満載。(これは全巻ず~~~っと思っていた)
ご都合主義もここまで行ったらなんというか…

お子ちゃまはこの話、おもしろいんだろうか?
なんかもう、大人には「はあ???」て感じで付き合いきれなかった。
終わり方もなんか納得いかないし。

最後まで主人公のアレックスに共感を持てずに嫌悪感だけがあるのは
全編を通じた「生意気」な態度がど~~~~~~~~しても受け入れられなかった。(訳ではまるで「礼儀正しい少年」描写だけど、とてもじゃないけどそう受け取れる様な態度ではないと思うが)
ロケットの中で細胞レベルで死んで、って感じ。
ああ、やっと終わってくれてこの忌々しいクソガキの話から解放されて
非常にうれしい!その一言に尽きる!
う~~~ん。
正直、初めに思っていた内容と全く違っているな~と。
1~2巻目までは「ハラハラドキドキ、ぶっちぎりアクション少年スパイ物語」と思っていたのが3巻目から段々暗くと言うか真剣スパイ物になり、今回では
MI6から殺し屋組織(スコルピア)に加入、MI6を敵に回す!!!
って「二重スパイ」レベルになっているし…

少年漫画の初めは「愉快な学園を舞台とした闘いもの」が、人気が出て
舞台が「外国」になりはては「宇宙」になり闘う相手が地球人外そして
異次元空間にまで舞台は果てしなく…レベル???

なんかねえ、暗いのよ。だんだん話が。ここがイギリスもんとアメリカもんの
意識の違いかなあ?
アメリカもんはスピード一発、スカッと爽やか!コカコー×だとしたら
イギリスはなんかグダグダ悩んで、いつも曇り空こうもり傘は必需品!
みたいな感じ。謎

で、本作のラストはすごい!
ほ~主人公を××しちゃうか~
シリーズ第4弾
正直、前半イライラしっぱなし。途中で眠りこける事数回。
と言うのも、アレックス=主人公14歳、バカ過ぎ!!!!!怒
ガールフレンドに誘われてバカンスに行ったものの、第一作目で自分の叔父を殺した殺し屋を見つけて「丸腰」で尾行。ピンチを感じるたびに「ああ、ぼくはなんて馬鹿な…」と後悔。本当にバカ!大馬鹿!全然、学習能力なし!
しかも尾行しつつ「僕には関係ない」とか思っているんなら「じゃ、ほっておけよ!」って感じでイライライライラ…
で、サビーナ(ガールフレンド名)のパパが襲われたのに対して警官等に
「犯人はあの殺し屋だ」とか「叔父を殺した奴だし、叔父はスパイだった…」って言う!?14歳なら自分の発言内容が相手に「ああ、気の毒に、頭が逝っちゃった奴だなあ…」と思われても仕方ないような話なら初めから言わないでしょうに。人とは違う事、目立たない事はしない。今時の中学生ならサバイバル術の一つとして浸み込んでいる必須科目でしょうが。(イギリスはもっとゆるいの?)
で、サビーナにも「何があったの?」と聞かれ「僕はスパイなんだ…」とやっちゃっているわ、MI6のカモフラージュ銀行に乗り込んで証明しようとして「痛いヤツ」認定をばっちりされるわ…と救いようのないバカ丸出しぶりにうんざり。
案の上サビーナに
「あなたの頭の中で何が起きているのかは知らないけれど、
もしかしたら、親がいないせいかもしれないわね。」

このように前回私も思った「親がいないことから来る不安定さ、人との良好な関係を築けないタイプ」が他人にも証明されている。

今回はMI6の依頼ではなくあくまでもアレックス単独判断で「敵」に乗り込むので「武器」はなし。ただし「善意」での提供はあったにせよMI6内における
「味方」は皆無。生きようが死のうが関係ありません!と拒絶される。

で、ネタバレ(10年以上前の作品だからもういいよね~~)
一作目で殺し屋として登場した「ヤッセン」。
話しの端々で妙にアレックスに好意的だなと思っていたら衝撃の告白。
「君のお父さんと一緒に仕事をしていた」
「お父さんもスパイだったんですか?」
「スパイではない。殺し屋だ。
MI6は彼を追っていた。そして殺した。」


なんという展開!って感じ。
叔父はMI6のスパイ。殺し屋に殺された。
実父は殺し屋でMI6に殺された。
で、息子はそうとは知らずスパイに育て上げられ、Mi6の手先に無理やりさせらて生死の境をさまよう現場に放り込まれている。
この事実を知った上で「おバカ」なアレックスが今後MI6にどう関わっていくかが最大の見どころでしょうなあ…
でも、なんせ直情バカだから、MI6を敵にしたところで適当にボロボロにされて
これまた「運」だけで乗り切るんだろうなあ…
いつものパターンで。(イヤミ)
ほんと、バカ、もう少し頭を使って、従順な振りして情報を手に入れてから行動したらいいのに、と毎回思う。

前回「両親もスパイでMI6に殺されたのでは?」と書いたけど実は「殺し屋」そのものだったんですね~
となると「ブラント」のアレックスに対する非情振りはものすご~~く理解できます。
シリーズ3作目
なんとなく文章が今までよりぶっ飛び感と言うかノリノリ感が影を潜めてえらくまじめな感じになったな~と思ったら訳者が変わっていた。
原作を忠実に訳してます!って感じで。できたら前作までの訳者さんによる訳と
比較してみたいな~って感じ。
元々原作がここまで「まじめ」になったのか、あくまでも訳の解釈の違いによるものなのか。
とはいえ、舞台も国内からヨーロッパと言った身近なものから共産国と言った
お付き合い度の薄い関係となり「死んでもしらないよ」と突き放し感がさらにアップ。
MI6からCIAに「レンタル」されるアレックス。
しかもCIAの二人はあっさり殺されてしまうし。(おいおい…)
武器も「殺傷能力のある物はアレックスに持たさず」と言う方針はここでも健在。
なんかな~スパイとして潜入させるのならもっと通信機器とか武器とか身を守るものをもう少し持たせるべきじゃない?と。毎回思う。

その一方で、コイツは殺されても仕方ないんじゃ! って
アレックスに対して「イラッと」感も持ったわけで。
イラストにごまかされてますが、アレックスの本質は「イギリス人」。
ハリーポッタ×にどこまでも近く、ユーモアと言うより生真面目度の方が強い。
何か大人に対してエラそうと言うか、かわいげのないやつ!って思う。
そんな「生意気度」が端々に表れるので、今まで散々な目に遭って「気の毒」
と言うよりも「お前がそんな態度だからいじめられるんだろ!」と
いじめられっこの定義=いじめられる方にも問題がある と言う説が頭に浮かぶ。
両親が幼い頃に亡くなってスパイの叔父に引き取られ、叔父は密かにスパイとしての要素をアレックスに植え付けていたという伏線を信じれば
どこか「普通の子供とは違う」と言う人間が出来上がり、それが大人に対して適切な距離を知らない、持てないどこかいびつな子供が出来上がっても仕方ないのかと。
今回の過酷な任務を経て、MI6の特別作戦局次長のジョウンズ夫人ですら
アレックスに対して同情的と言うか「子どもという事をもっと考慮して欲しい」的な事を局長のブラントに申し出るぐらいだから。
けど、このブラント。
一作目からアレックスにあれこれ任務を押し付けるのだが、どこか冷たく
まあぶっちゃけ「アレックスが死んでも全然惜しくない。いや、むしろ死んで欲しい」感を感じさせるのですが、案外アレックスの両親も実はスパイで作戦中にブラントの罠で死んだんじゃないのか?と推測してしまう。
両親の死を世間から隠したいがために、アレックスも「任務中の事故死」によって闇に葬りたいんじゃないのかな?とか。

訳者が変わって原作自体がトーンが変わったのか、訳だけの問題なのか不明ですがただの「痛快!少年のスパイ物」とは微妙に変化してきている感じ。
次男が友達から借りてきたのを「ちょっと」拝借。





おばちゃんには絵が下手すぎるので、登場人物の区別がつきません。涙
その一方でこの「下手さ」加減のおかげで巨人に人間が食べられるという
ショッキングな場面でもイマイチリアル感が乏しいのでそれほど
「ひどい場面」に見えないのはいいのか、悪いのか…

それにしても「少年誌」掲載作品なのにこれだけショッキングな場面の連続で
良いんですか?って。
今時の親御さん、子供がどんなマンガ読んでいるのか把握してますか?
って、心配してしまう。
大人が子どもの時に読んでいたものと全く違う価値観、構成、内容。
平均的な作品ではもう満足できない位、「もっと、もっと、より刺激的に」と言った要求が読者側から求められているのでしょうか?

10巻まで読んでストーリー的には面白いんですが、何と言っても絵が…
その一方でこれだけ「下手」がはっきりとわかる要素として今時珍しい
手書き作品。
PCで誰が書いても似たような印象の絵が多い作品がゴロゴロしている中で
あえてヘタであっても迫力を出すために手書きをわざと選んでいるのでしょうか?(実は、お金が…とか言わないで下さいよ)
10巻分も書いていたら普通もっと画力が上がる人が多いのに、わざと進化を拒んでいるんでしょうか???
絵で判断されて打ち切りにならない様に、ダラダラと話を引き伸ばさずに
サクッと完結されることを望みます。
シリーズ第二弾

今回も本人の意志とは別にあっさりMI6に強制的に任務を命じられた挙句
(実質MI6に)殺されそうになる話。
何かなあ…何なんだろう、このむなしい展開は…
大人の都合に子供を巻き込んだ挙句、「任務のためだ」と言う大義名分で一人のしかも子供の命をあっさり見捨ててしまうこの考え方って、アレックスが闘っている「悪者」とどう違うんだろう???

一作目は学校の人種差別によるいじめが発端。
今回は南アフリカにおけるアパルトヘイトと言ったこれまた人種差別が発端。
展開パターンはどうも同じ思考能力らしい。
アレックスももう少し盗聴マイク&監視カメラはどこにでもあるという意識で任務にあたるべきなのにあまりにも「バカ」過ぎる。
そう、おじさんは時間をかけてアレックスを一流のスパイに仕立て上げる素地を培ってきた割に根本的な「慎重な」とか「冷静な」と言った部分を教育し忘れている。
けれど、本作でどうもMI6に対して
硬質の冷たさが、新たに彼の性格に備わったようだ

ということから、彼が活躍すればするほど性格が「悪く」なりそうだよなあ…

そしていつもお約束の展開の一つとして
MI6から解放された後、ラスボスとの対決が用意されているようで。
そうは簡単にお役御免にしてもらえないところに「非情」なスパイ小説の本領発揮を感じる。

「だけどあなた達は僕をこき使うだけだ。
これじゃ、まるで道具だよ。
あなた達はグリーフと同じだよ。
目的のためには手段を選ばないんだもの。僕は学校に帰ります。
次からは僕無しでお願いしますよ。」


長期欠席に伴う間抜けな診断書しか作ってくれないこのMI6と言う組織。
大人でも絶対に属したくない「職場」だと思う。
やってらんね~よ、と読み手すら思う設定をもう少し何とかならない物でしょうか?
翻訳の棚を見ていたら、明らかに他に並んでいる本と大きさが違う(児童書の大きさ)のがあったので手に取ったのがこのシリーズの6作目に当たる『アークエンジェル』でした。それだけの完結ものかと後ろを見たら前作があるので調べたら全て「書庫」扱い…
しかも、表紙のイラスト。
どう見ても『ジョジョ』の絵だよねえ…
という事で、書庫からシリーズを全部持ってきてもらいました。
でも、書庫に置かずに普通に児童書の棚に置いておけばいいのに。
特に今「ジョジョ」ブーム(?)なんだから。

ちなみに借りた後、家で積み上げていたら次男が「おお!!ジョジョと違うん!!」と。
さすが目が早い。
この本の「手」の角度なんてそれっぽいもんね~
(本書は2002年の作品ですが)

で、あらすじ的に言えばおじさんとハウスキーパーと三人で暮らしていた
主人公が叔父の死後、無理やりMI6に「勧誘」され2週間の短い訓練後
敵組織の基地内に放り込まれて諜報活動を「強制」されるという…
まあ、小中高生が読んだら「ハラハラドキドキ、スパイアドベンチャー」で
「楽しい」んだろうけど、大人のオバハンが読んだら
「おいおい、子供に何させてんねん!てか、お前も余計な事に首突っ込むな!」と冒険を楽しむ余裕もなく、無難、安心路線を求める「面白みのない大人」
になっている自分に情けなさが…涙

ネタバレとしてラスト、無事(?)解放されるときに
MI6から
「似たようなことがあったら、お願いするかもしれない」
とタダ働きをほのめかされるし。
むしろ叔父を殺した殺し屋の方が
学校に戻りたまえ。元の人生の戻るんだ。
次にMI6に仕事を依頼されても、断るがいい
殺し合いは大人の仕事だ。君はまだ、子供じゃないか。
と。
MI6と殺し屋。
殺し屋の方が言っていることが「まとも」ってどうよ…汗
あ、主人公は14歳の中学生。

労働基準法なんて何のそので小学生の内から「強制労働」を強いられるのは日本の芸能人ぐらいかと思うけど、彼らは「自ら」その道を選んでいるのに対して、
アレックスはどこまでも「タダ働き」(断ったら施設に放り込むと脅されている)。
結構えげつない設定だけれど、ジェームスボン×並みの活躍をしてしまうところが、魅力かつ次も読んじゃおっかな!と思わせてしまうシリーズ。

お気の毒様です、ご苦労様アレックス。
正直「1」とは雲泥の差でめちゃくちゃ完成度が高くなっている!
ゴーストライターが書きましたか??
ってぐらい、全く違う人の作品ぽい出来上がり。
たった一年で、この小説に書かれているような激務を日々過ごしている現役医師がここまで上達する???????って感じ。

まあ、誰が書いたにせよ、かなりの完成度は確か。
まあ、ぶっちゃけ「プロ」が書いたなら「ここは泣かせて」「ここは感動させて」と計算されたまるで映画を見ているかのようにイメージがどんどん浮かびます。
先日読んだ『困っている人』が患者側からの問いだとしたら
こちらは医師からの問題定義。
今の日本の医療の状態、これでいいの?
医師が本当にこれだけ激務であるなら、なり手がどんどんいなくなって
その数少ない医者を今度は金持ちだけが独占する…
そんな時代にもうすぐ突入するかもしれない。
実際、自費治療は金がある人しか受けれない。
いわば特権階級のみが高度治療を受けれるという。
現在は死にたくてもチューブに繋がれたままの患者も多数存在するが
この姿も本当に望まれた状態なんだろうか?
医療も金儲けの一環、経営がまず第一と終わりの頃に出てくる事務長の存在は
他の医療系の小説やドラマに当たり前のように出てくる。
ベット稼働率を常に100%キープ。

「医師の話ではない。人間に話をしているのだ!」

「世の中には常識と言うものがある。その常識を突き崩して理想にばかり
走ろうとする青臭い人間が、私は嫌だ。
しかし、理想すら持たない若者はもっと嫌いだよ」


「…智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。」
「意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい…。」

漱石を敬愛している設定だけに、漱石の苦悩も自分の苦悩としてオーバラップさせているのが巧いなあ。

その一方でまるで「私はこんな難しい本を読んでいるんだ!」と 明らかな自慢多種多様な文献を引用してくるのは某京大卒の作家にこんな点も似ている。
頭いい人は、こんなことを書くのが共通項???


まあ、「1」を書いた人本人かプロットだけが本人の物か誰が書いたにせよ、
これはお勧めできる一冊。

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