北海道にある(と思われる)病院として終わっちゃってる市民病院を舞台に繰り広げられる「医療ミス」として問われることになった三枝医師についての詳細や
財政再建団体として指名された極北市(夕張市??)を再建するために若き日には「ジュノ」と呼ばれた世良医師が華麗に復活!
「天城先生」に経営者としての指導をあの後されたんだろうか??
本来の主人公であった今中医師(プーさん)は全くいいとこなしで気の毒。
気の毒振りが「田口医師」とダブる性格設定。
そして気弱な立ち回りの下手な医師では物語が進展しないのでこれまた「姫宮」や「日本医療業務昨日評価機構」と言った天下りが絡むことによって進む、形。
役人が絡まないと話が進まないってことは、役人は必要悪なの?とすら思うんだけどなあ…

多分距離的には近いであろう極北市民病院と極北救命救急センターには将軍こと速水医師がいてここに世良先生が赴任してきたってことは花房ナースを巡っての恋物語はひと波乱とか無いんだろうか?とこれまた下世話なことを考えたり。

それにしても『螺鈿迷宮』の黒幕がここでも大活躍していてほんと不気味。
「悪」を象徴するやっちゃなあ~と感心しきり。

と、全然的外れな感想をだらりと。
「未来編」のスピンオフ??


『医学のたまご』のヘラ沼君のお父さんとお爺さんが活躍。
『ナイチンゲールの沈黙』の小夜子嬢が歌手としてそして端人君が所長として活躍する4Sエージェンシーも登場。

そして色々なシリーズに登場する「桜宮水族館別館」に置いてある「黄金地球儀」が主役(?)
若き世良先生もデートに行きました。

「ふるさと創生基金」…
そういえばそんな「金ばらまき作戦」ありましたねえ…
今では「子ども手当」と名前を変えて現在進行形…
まあ、一部の国民にばらまくか官僚が使うかの違いか。
「ふるさと…」をもし無秩序にばらまくことなく計画的に運用していたら今の国の危機に少しは貢献していたかもなあ…

まあ、自分の財布にある金ではなく一旦国や市町村に「税」として行っちゃった金はもう「他人のもん」だからどんな使い方されても文句が言えないからねえ…
それを文句言ってもらう為に選出した国会議員が先頭きって使っているのが現状ですから。

と、感想と全く関係ないことを書いてしまった。
それだけ感想を書くこともないってことですが。
ガラスのジョーの転機をもたらした講演者が「白鳥」の様な気がしますが。
まあ、せいぜいその程度のご都合主義エンターテインメントの一冊。
お気づきかと思いますが、最近この著者の本に対して嫌気がさしておりまして。
ので、読みはするけど感想はもう備忘帳替わりなので、適当にスルーしてくださいね&内容には全く責任をもちませんゆえ。


「未来編」←勝手に命名
『ナイチンゲールの沈黙』で5歳だった佐々木アツシ君が高校生になり
『ジーンワルツ』で人工授精で生まれた曾根崎薫が主人公。(中2)
未来編だけあって、ジェネラルの「城」であった救急センターはすでに「儲けにならない」ということで閉鎖。残念だ。

日経メディアカルという専門雑誌に連載された話なのになぜか中高生向きの本に仕上がっているという…不可解な本。
専門用語が出てくる割に注釈がないという不親切さ。
正直、この主人公の「くそ生意気さ」な文体がつらかった。(小1のくせに殺人現場をチョロチョロするコナ×君が気にならない人は読めると思う)
文体が洋書の翻訳調というか、つまらないことをぐずぐず悩んで青春を語る系というか…(ライムギ畑系とでもいおうか…)
でも、中二にしたら幼いといおうか…設定がびみょ~~~

父親も世界で活躍している学者であれば、息子が大学病院で研究するのなら「魑魅魍魎、足の引っ張り合いは当たり前」ということになって苦労するのは目に見えているのにあっさり許可を出すところが理解不能。
自分の子供が精神的にまだ幼いとわかっていたら普通ならもっと注意をしてから出すと思うから。
自分の事しか考えていない父親だなあ…(いくらラストで活躍しても嘘くさい)
なら、はじめから手を打っておけよな、って思ったから。

素敵にこの作者の定番である「ご都合主義」満載の一冊。


バチスタフアンは読んでも若き将軍や清川先生の青春時代を満喫できるから満足の一冊になると思うが、いわゆるジャケ買いの予備知識なしの一般人が読んだら100%「買うんじゃなかった」と後悔すること必死なのでお勧めしない。

剣道という一般に知られていないスポーツを題材にしていることから、著書の医療ミステリーと同様 そこに嘘や誇張があっても気が付かれにくい というのがこの作者の特徴かと。

ウイキから
高校から始めた剣道では、千葉大医学部時代に剣道部の主将を務める。段位は3段。

ということから、医学部の剣道部=ちょっとかじった程度の剣道をそれっぽく書いているのが本書。

上げ足を取ればP70~71
「剣道は中学時代に3年間やってました。初段です。」
中学剣道で初段ということは、かなり稽古したということだ。


ぶった切らしていただきます。
次男、剣道は小学校5年生まででしたが中2で2段取得いたしましたが。
しかも昇段試験日に本家本元の剣道部は試合に行ったため次の昇段試験まで
「俺、陸上部だけど剣道2段!」 という状態でしたが。
そもそも小学校から剣道を始めたら小6で1級、中1で初段、中2で2段取るのが普通に練習していた者の平均ですが
3段を取るには2段を取ってから3年は受けれないので、高2に取得するのが一般的かと。

それを 中学で初段って ぷっ!
よわ~~よわ~~めっちゃ弱い剣道部。
そんな弱いのが通用するからこそ医学部剣道部、ってことわかんないのかな?


めっちゃ腹立ったわ!読んでいて!剣道扱っている本の中で駄作もいいとこ!
弱っちが何偉そうに書いてるねん!!!(怒)
久しぶりにこの手の雑誌を買いました。
買う前に古本屋で古い号を見たのですがこれだけ春めいてきたのに「ファー」だとか「ニット」だとか見ても、ねえ…

おしゃれな服を買う余裕も着ていく場所もありませんが気持ちだけ「春」を楽しんでみよう!
…って、800円の雑誌一冊を買うことを悩む自分って…汗
「過去編」第2弾←と勝手に命名

「現在編」の人身御供が田口先生なら「過去編」は世良先生。
二人とも全く出世とか欲とかないのに抗争に巻き込まれてしまい四面楚歌に陥る気の毒なキャラ。
特に世良先生は前作で「青年医師の成長」と手放しのいい話の主人公だったのが今回はいきなり「陰謀」渦巻く医療本来の世界に投入される。
というより、医者ってつくづく「患者を治せばいい」仕事ではなく
いかに「うまいこと立ち回れるか」がキモな仕事のようで…お気の毒。
これだけ四方八方に睨まれずにうまく立ち回ることばかり考えて仕事をしないといけないとなると本業がどんどん疎かになるのは仕方ないかと。
もっと言えば出世するためには臨床の回数よりも論文数の多さが左右って…

今回登場の「天城先生」がフランス語を操るおかげで世良先生は「ジュノ」と呼ばれ一気に「BLですか??」モード作品に。(笑)
ナースとの恋愛も一歩進んだように見える本作。けれど「現在編」を読む限りうまくいかなかったのはもしかして日本医療界に天城先生ともども「抹殺」されてしまったのか??と推理。(笑)

天城先生の考え方=ブラックジャック なわけで。
まあ、天城先生の様なタイプが日本で活躍したら権威とかその他もろもろに固執する古き者は生き残れないから。
事実、現在経済力を失った日本に海外企業の参入によってさらに脆弱化していることから明白。(北海道の山林を海外企業が買い占めているらしい。ここから自然破壊されても土地の持ち主は海外なので日本は指を咥えて国土が蹂躙されるのを見守るしかないのである)

や~~ねえ~~。先を見る力のない古だぬきの自分たちの私利私欲によって発展するものも衰退し、やがては滅びていくのは医学だけではなさそうで。
次男が借りてきていたので1巻から11巻まで読みましたが…
これほど最低なタブーだらけの設定って…
腹が立って仕方なかった。

不条理な理由で友人を殺した罪で刑務所に送られ、「死」をイベントとして見世物にされた挙句、友人を殺した犯人こそが「幼馴染=好きな子」という…
しかも彼女を「化け物」にしたのが彼の「実の母親」…

と、どこまでも救いのない話。
人の弱み、心の痛みを笑いながら痛めつけるような展開に悔し涙のような感情が湧き上がる。

こんな救いのない話を書いて何が楽しいんだか。
それが11巻まで続いているということは「面白い!」と評価が下されているからこそ続いているという恐ろしさ。
確かに展開が目が離せないという点は認めるが、こんな悲しい話で引っ張る必要性はどこにあるんだろう?

震災1周忌を前にこんな話を読むんじゃなかった…
DN以外のブログで見つけ、勝手に「お姉さまor師匠」とお呼びしている方が紹介していた本。
メインターゲットは中学生男子!

感想としてはお姉さまのようにあそこまで「突っ込んで自論展開」できず、お姉さまの偉大さを知る。

ちなみに学校から帰宅して私服に着替え、塾に行った次男は
翌日同じ服は絶対に着ない
ほんの数時間しか着ていなくても、である。
洗濯する側にしたら「洗う量が増えるから困るんだけど」と主張しても無駄。
「同じ服なんか恥ずかしくて着れるか!」
「誰も服なんか気にしてない!!」
「い~~や。女子がみている!!」
「…」(うっとうしいなあ…)
一方、長男は一週間ぐらい平気で同じ服を着る。

そんな彼らに「読んでみ」と手渡すと次男はさっさと読み終え感想を聞くと
「ま、いいんじゃない」。
長男は「(読むの)めんどくさい!」と一向に手を出さない。
もうここですでに服を着るということに対する意識の差というものが表れているような…汗

ちなみにお姉さまのブログはこちら。
http://proage.blog66.fc2.com/

下手な小説を読むより面白いです。
田口先生がまだ大学生の時=昭和63年の出来事。
今では当たり前のように行われているガンの告知。けれど昭和63年当時はまだぼやかして告げるのが当たり前だった時代。
そういえば「もし、自分ががんと宣告されたい?嘘をつかれ続けたい?」的な質問もよく交わされたっけ。

感想
おもしろかったです。いつも(現代)のように「Ai、Ai」とそれしか言うことないんか!!(怒)ってことにはならず(時代設定が時代設定だけに)、それよりも新人研修医が一人前の医者になるために必要な経験や挫折を味わっていく様は引き込まれました。

ただ研修医A先生と後日、将軍とひっつくナースBのほのかな恋愛話に、「なぜA先生は振られることになったんだろう…」と下世話な感想を持ちましたが。(笑)

いつもは田口先生をけむに巻いては雑用を押しつける高階先生の若き頃(といってもこの時代から結構食えぬタヌキだったわけで)や現役の藤原ナースも出てきて楽しい一冊。

渡海先生はどこに行っちゃったんだろう…
定期試験が終わった次男がさっそく漫画を買いに行きました。
1巻と2巻。
これ、人気なので価格がなかなか下がらないらしい。

絵がね、いまどき珍しい「手書き」なのかな??
ので、余計に味がある気がする。
儚さと悲しみと、優しさと温かさ。
主流のPCで描いちゃうとこの「良さ」が出なくて、ここまで人気が出なかったのでは??

とはいうものの、もう11巻も出ているようなのでこの辺りはすでにPCで描くようになっていたら残念かも。

というわけで価格が下がって続きを読むのが楽しみだ。うんうん。
次男の小遣いでよろしく!
普通に小説だと思って借りたらなんのことない「ファンブック」。
しかも、作者本人によるもの。
個人的には「あとがき」等で「この作品はうんぬんかんうん…」と解説しているのは「邪道」と思っている。
それは「言い訳」に聞こえるから。
自分が書いた作品はどんなレベルでも「最高!」と思っているから世に出すのであって、「こんな駄作ですみません」と思いながら出す人はいないと思う。


で、自分の作品についてあれこれ書いているのを読む限り
この人、素はちょっと幼いかも…
自慢したがりかな??と。

一方、各作品の人間相関図があって「なるほど」と。

作者自身は自分の作品が「ミステリーではない」という扱いをされるのが嫌だそうで。

全体的な感想を言えば、初めの若きジェネラルの小説だけ読みたかった。
あとは舞台裏がわかってしまい、興ざめ。
どんな状況下で書いたにしろ、それを読者に「これだけ頑張ったんだぞ。すごいだろう!」と言わなくてもいいと思う。
結婚して二人で住むことも「二人ぐらし」と言うそうです。
個人的には「二人暮らし」と聞くと「同棲」の事かと思っていたのですが。
あくまでも子供のいない、気楽な生活イラストエッセイ。
あ、子供がいなくてもいろいろ面倒なことをしょい込んだ人(誰の事??笑)も世の中にはいるのに、なんか身軽でお気楽で幸せそうでよろしいね、まるでままごとみたい と。

二人の性格の違いがうちの夫婦とも重なる部分もあって「どこも適当に折り合いをつけていくんだなあ…」と。そこは共感できました。
パラレルワールド
自分の存在が一番いるべき存在でなく、邪魔な存在。
この作家はどうしてこう暗い主人公ばかり書くのか。
読み終わった時、読者がどんな気持ちになるのか一度考えてもらいたいものだ。
シリーズではなく、そしてミステリーでもなくホラーの短編。
「バベルの会」というのが共通項目。
「古典部」シリーズ

ミステリーのような青春小説。

完全、ラノベレベル。
感想(酷評)書く気すら起らず。

備忘帳
やっと入った新入部員。なのに「辞めます…」の一言。
一体何があったのか?
『ジーンワルツ』の母親から見た話。

『ジーン』を読んだ時「なぜ、代理母を受けたのか理由がわからん」とか「なぜ代理母までして子供が欲しいのか」と言った理由がわからないまま、話は進んでいった。

医療の特殊技術を使ったミステリーと言う立ち位置にいるため、現実の技術で可能かどうかはさておき説得力(力技??)でねじ伏せて、医療問題を提示した感があった「ジーン」。

で、本書で理恵の母、緑の視点から語ることにより補足したわけで。
正直、力のある小説家であれば本書とジーン一冊内にこれらのエピソードを収めるのが筋かと。
女医から見た妊娠、娘の子供を産むことになった母の妊娠を交互に視点を変えて書いたら深みが出たかも。

とはいえ、どうも本書はどこまでも「いいわけ」ぽく感じたし、結論を言えば理恵の物の考え方に共感できず。
冷たすぎる。
女は子供を産む機械、と言った大臣がいたけれどそれを思い出させるような女だな、と。
こんな冷たい女がどうして子どもを欲しがるのかな??と最後まで納得できなかった。

「ジーン」は今時の出産事情及び個人の産婦人科医の激務度を告発するかのような勢いがあったので読めたけど、本書はどこまでも「おまけ」の感を否めずスピード感も無い。

そして、何より娘が母親を軽視しているというかよそよそしさ&冷たさの原因はなに?って感じ。
「ママ」と30を超えてまで呼ぶ女の精神的な幼さと医者としての冷たさがマッチしておらず不安定な奴と。
う~~ん。子供を育てる環境がいいから問題にならないだろうけど、子どもが邪魔になったら薬で殺しそうな女だな、と。

この女医と『螺鈿』に出てくる小百合に同じにおいを感じるのだが…
作者の経歴が「勤務医」から「独立行政法人放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター・Ai情報研究推進室 室長」に変わったのがなんとも。
「これだけ医学と関係ない分野でAi、Aiと騒ぎまくったから関係部署も目をつぶれなくなったのか?」と邪推してもいいですか?

さて、本書を読む前に『螺鈿迷宮』を読んでおくことをお勧めします。
「螺鈿」は田口医師が端役で出る程度でしたが、本書を読む限り本流の「イノセント…」がサブテキストで「螺鈿」が本家かと。
「アリアドネ」にいきなり「螺鈿」の主要人物が復活してますから。
しかも流れが「将軍」も北に飛ばされたなあ…「螺鈿」で謎の人物も「北」に逃れたなあ…方向が一緒だなあ…と思いながら読み終わったら「アリアドネ」でつながるという仕掛け。

もっといえば「ジーンワルツ」で人工授精にて双子を生んだ50代の女性と「螺鈿」にかかわった人物が同じマンションでニアミスしているし。
全く違うシリーズの人物がさり気にリンク、ニアミスしている仕掛けに気づくと
登場人物の動きも頭に入れつつ、なおかつ読む順番が違うと気が付かずに流してしまう作りに。

「バチスタ」を書いた時点でここまで物語が広がることを想定していたんだろうか?とそちらが気になる。
最終的には白鳥&田口シリーズと「ジーン」シリーズも一本の流れとなるべく合流するんだろうか?

さて本書の感想と言えば…
「ここまで司法を敵に回さなくても…」というのが本音。
今まで医療の「事実」を書き散らかして訴えてきただけに、ここに書かれた「司法の在り方」がすべて「事実」だと思われないのか?不安。
もしかしたら「事実」なのかもしれないが「殺人課」もどきがあるのかと思うと背筋が凍る。
一方、現実の世界でも「村木局長」の事もあるし「司法がすべて正しい」という世界は終わりを告げようとしているのかもしれない。

でも、知り合いの警察官に「あれも取り締まれ、これも取り締まれ」と言いたい放題言ったことがあるのだが彼に言わせたら

できるものならしている。
それを取り締まる法律がないからどうしようもない。
」と
返されてしまった。
明治にできた法律で平成の世の中を裁くことはだれが考えてもおかしいのだが、
それを放置し続けているのが「官僚」なのではないだろうか?
「前例がない」ことを理由に乗らりくらり、自分たちにとって都合のいいことだけを推し進めているという姿勢は医療の推進の阻害にしても警察の活動にしても根っこは同じではないのか?と思う。

海堂先生も警察を敵視するよりももっと違う方面をただすべきではないか?と思う。医者だけでなく警察官だって「現場と上の考え方の違いに苦しめられている」のだから。本書だけを丸呑みする 浅はか、公務員バッシング大好き人間知識の少ない人間の方が世の中多いのだから、医者の目から見た者だけでなく警察から見た医療の立場の本を書くのが筋ではないか?
喧嘩における片方 だけの都合のいい言い分を聞かされている気になった。
ちょっと子供っぽいものの考え方をする人だな

初めの頃はこの作者の事を「いい」と書いたけれど、ここまで「偏った」物を書く作家もどうかと思う。
娯楽と事実を100%切り離して考えることができる人が読者でない限り、危険だと思う。
田口&白鳥シリーズのスピンオフ?

読む順番を言えば「ジェネラル」本書「イノセントゲリラ」で読むべきでしたね。
舞台は「ナイチン」で重要な役どころだったナースが所属していた病院であり、「ジェネラル」でICUにて看護研修を受けた姫宮が潜入捜査していた病院でもあり。

エンターテインメント的に言えば「おもしろかった」。
もっとも、ラストのオチはよくあるパターンで「次回に続く」系で。
それでもミステリーとしても読者を最後まで引っ張っていく魅力があったとかと。例によって「AI,AI」と連呼してましたけど許せる範囲。
先に「イノセント」を読んでいたので「この本あたりでこの作者の娯楽としての読み物の面白さは終わりかな?」と思ってしまうのだが…

本書では主人公を田口医師ではなく、一介の留年医学生にしたので、読んでいてこの主体性のなさ、女に言いように振り回され、世の中を甘く見すぎている底の浅さといい一瞬「米澤作品??」と勘違いしてしまいそうになった。
まあ、このダメダメぶりが田口医師とキャラが被るわけだが。

それにしても、潜入の目的や依頼が「やばい」と分かっているのにここまで勘が鈍いのは目の前の患者を診ずにデーターばかり見る医者の要素がすでにそなわっている、ってことだよな。
想像力よりも事実しか見ない。見えない。知ろうとしない。
うん、天馬君、君はいい医者になるよ。(毒)


あと、薬はやっぱり毒なんだよなあ…
舞台は病院を外れ、厚生労働省へ…

正直このシリーズでこの話を書くのはバチスタフアン離れさせる結果につながるのでは?と。
海堂氏の本業で唱えている(と思われる)「エーアイ」を連呼しすぎ。
ここまで来たら正直「うんざり」。
今までのシリーズの流れとはかなり違うテイストとなり、エンターテイメントとしてとらえた場合、「面白くなかった」としか言いようがない。
確かにエーアイが導入されたら画期的なのはわかるものの…

T大卒のぼんくら官僚がいるから医療における進歩がみられず、むしろ悪くなっている…という気持ちが先走っているのか厚生省糾弾!色が強すぎる。

『ジーンワルツ』で若干触れられた産婦人科医の「みせしめ」が新聞記事として載っているのは作品が微妙にリンクしているからかな?
『ナイチンゲールの沈黙』と同時期に起こったICUの若き将軍=速水医師を中心としたスリリングかつサスペンス劇場。

将軍の活躍が素敵でした。こんな上司の下についた部下は大変だけれど、それに見合うだけの「責任」を常に覚悟しているその潔さに惚れてみんなついていくんだろうな、と。
これだけの采配を瞬時にできる人はいない。

作りは派手です。映画化しても耐えるだけの人物像が魅力的。
『ナイチン』はこれと比較してしまうと心の動きが中心故、地味に映ってしまうのだが元をただせば現場の雰囲気が違うので等しくとらえる方が間違っている。
というのもナイチンの評価が悪かったから。確かに田口先生もそんなに活躍していなかったし白鳥との絡みも少なかった。同時期先生たちは将軍と関わっていたからそりゃ無理だよな、と納得。こちらではしっかり絡んでましたから。
それにしても別々の本で同時期に重なる登場人物をここまで自然に登場させてしまう海堂さんに敬服。

『チームバチスタ』の心理劇、サスペンスを求める読者が多いと思うけれど、
実際の医療現場で頻繁に手術ミスが問われるようなことはあってはならないはず。
むしろ2作のように淡々とそして戦場と化しているのを見せずにいるのがプロではないかと。
医師の苦悩、医療環境の劣悪、法の壁など日々医療現場でぶち当たる葛藤をぐいぐいと読者にそしてひいては全国民に知らせる手段として小説を書いているのかな、と思わせる。

誰かが声を上げないと誰も気が付かない。
声を上げた者が、排除される国になってはいけないと思う。

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