米澤氏の本が予約しないとない状態になったのでしばらく海堂氏と並行して読むことに。

それにしても

米澤氏は作家一本なのに、医者と兼業の海堂氏の作品の方が面白いってどういうことかな?

田口&白鳥コンビの第二弾。
一弾が「チームバチスタの栄光」
二弾が本作。
三弾が「ジェネラル・ルージュの凱旋」
一作目と三作目が映画化したわけですが、多分映像にしにくい部分が謎解きのヒントになるので仕方なかったのかな?

一作目に比べて数段文章がこなれて読みやすかった。
一作目は田口先生の「だめだめぶり」が上下セット中、上巻で延々と語られてうんざりしましたから。
本作ではダメさ加減は鳴りを潜め、もっと言えば影さえ薄い扱い。気の毒に。
言ってみれば田口先生は白鳥の「暑苦しさ」を強調するための添え物なので仕方ないんだろうけど。

本作、正直読後感はかなり物悲しい何とも言えないものでした。
延々とバックにクラッシックが流れているような。
透明な静謐さを感じさせる一冊。

先に読んだ「ジーンワルツ」と本作を比較すると、ナイチンゲールは娯楽作品として秀逸。ジーンはどちらかと言えば海堂先生が「言いたいこと、主張したいこと」がぎっしり詰め込まれすぎてちょっと食傷気味に感じられた。

まあ、主役の立場が違うから仕方ないけど。
読後感は「ナイチンゲール」の方がいいですね。
DNは結構お医者さんが参加されているので下手なことが書けないな…(笑)

さて、本書。
女医を主人公に「不妊治療、代理母、地域医療の崩壊」など女性なら今時のお産事情を知っている方がお得な内容。
読みながら「妊婦さんが救急搬送を断られ続けて亡くなったケースがあったっけ…」と思い出した。
妊婦がいかに「受け入れたくない患者ケース」なのかを思い知らされる。けれど、それを受け入れてくれる地域の産婦人科医が逮捕されたという何とも言えない背景が描かれ「お産ってだれでもできる」と言う認識をきれいに覆してくれる。

本書でケース的に取りあげれられた妊婦も
自然妊娠組
1、20歳中絶に来て、ビデオを見せられ妊娠継続を希望するも、奇形を持っていることがわかる。
2、2人目妊娠。けれどここも出産直後に死亡する奇形を持っていることがわかる。

人工授精組
3、不妊治療5年。やっと授かる。
4、55歳にて人工授精経過観察。

設定として自然分娩妊婦の子供が奇形で、人工授精組の子供は何ら問題なく帝王切開で生まれる。
自分も帝王切開組なので、これを読むと「ああ、運がよかったんだな」と思うぐらい出産って命がけな作業だったんだな、と。
出てきた結果がどんなに
ぼんくらのんびりした子供でも。

「つまり皆さんはお母さんの中から500分の一、お父さんからは5億分の一の狭き門を突破してきた遺伝子のエリートたちです。」


そうか、ぼんくら 長男も細胞の中ではエリートだったんだ!!
「五体満足で生れ落ちることがどれほどの奇跡か、半年の授業でわかってもらえるとうれしいです。


こんな風に小説を通して、現代の医療問題等を教えてもらい知ることができる。書くために生まれてきたお医者さん作家だなと思った。
今まで読んでいた高校生を主人公としたシリーズものではなく、古書店の腰掛バイトをしていた青年がある女性客に頼まれて彼女の父が書いた作品を探し求めるという設定。

父親が書いた作品が謎めいており、そこからある真実を導き出す仕掛けとなっている。

嫌味たらしい性格を持った人間を主人公に据えていない分大変読みやすかった。
その一方でこの作者の持ち味が消え、作者名を隠せばだれの作品か?とわからないぐらいに「普通のありふれた作品」になっているのが皮肉。

古本屋を主人公にした作品では三浦しをんを最近読んだが、本を探す過程において「人物」を掘り下げている分話が深くなっていた。
が、この本ではそれがなく、ただ言われるままページをめくり、読み終わる。読んだ後には何も残らず。
謎ときに重きを置こうとすればするほど、人物像が果てしなく軽くなり深みのない作品に仕上がる。
もっと「人物に魅力」を持たせれば深みが増すと思うのだが。


「古典部」4作目??かな。これは短編集なので。
短編故、推理物としては「ん~~~~」」ですが、どちらかといえば主人公とヒロインの関係を掘り下げたような感じ。要は青春ものとしての色が濃いかと。
特にラストの「遠まわりする雛」に至っては主人公の気持ちがはっきりしてきていると同時に前作とは少しニュアンスが変わった気がする。

それにしても高校生が「トレンチコート」しかも「白」を着ているという設定がどうも受け入れがたく…
探偵はやっぱりトレンチコートが必須アイテムですかね???

肩がもうバリバリで痛くて痛くて…という状態で図書館で健康の棚にあった一冊。
ちなみにこれを借りた帰り道「アロマリンパマッサージ」に行こう!と電話を入れるもののかからずに断念して帰宅したら、「…」な結果が待っていたという流れでして。

「ああ、マッサージに大金払わなくてよかったよ。スーパー銭湯が800円として10回行けばいいことだもんな。」と自分を納得させて。
こうやって「節約」しているつもりがなぜかお金の貯まらない我が家って…


で、そのスーパー銭湯にも「天然温泉」と標榜されていて。
この本を読み始め、海を掘削したタイプは「化石海水」と言われて「地下の溜り水」を吸い上げているだけなのだとか。
「レジオネラ菌」を殺すために塩素が大量に投入されている結果、体がかゆくなるなど、入ったら余計に体に悪い「温泉」も多数存在するとか。
なので、表題を見る限りは「ああ、温泉に入ったらいいのか」と思いがちだけど
それはあくまでも

本物の温泉に入った時だけ限定


循環風呂は特に雑菌が多く、むしろ家庭風呂に入っている方が「安全」。
家庭風呂では「備長炭」を入れておけば少しは塩素を減らし、体に負担が減るのだとか。シャワーは一番「弊害」が多いのだとか。


本当の温泉って…
めちゃくちゃ遠いやん。
ちなみに著者の方。温泉に入るためにわざわざ北海道に引っ越され
主に「定山渓温泉のある宿の源泉100%かけ流し食塩泉」が主治湯だそう。
病院代わりに通うのだそう。
うらやましいな。
映画化されてましたよね?
この作者が原作だったとは。
正直「変な題名だなあ…意味は何??」とそっちのほうが気になってました。

インシテミル
「in してみる」
「in して見る」
など「何かの内部に入って散策する話」だと思ってました。

ところが表紙に

The incite mill
とあり、また辞書を引く羽目に…

文藝春秋から出ているから「正統」な推理小説とは捉えずに
「単なる娯楽小説」として読めば十分楽しめるのですが…

なにせ「完全なる殺人」や「美しい殺人」とはほど遠いゆえ…
本格派からは認められないかと。

私のような素人ですらラストの「オチ」が十分想像できたぐらいだから。
だって、明らかにこの人の言動おかしいもの。

この作者、ある特定の人物像を描くのがとっても「下手」。
もっと普通に背景に紛れ込ませておけばいいものを。

表紙のイラストもなんかなあ…



今まで読んだ作品は主人公が高校生の癖に妙に後ろ向きで上から目線かつ解決する力があるくせに自発的には行動しない
「いやなやつ」ばかりだったが、本作は25歳にして病気で仕事を辞めて社会復帰の為に開いた「犬さがし専門」業者がまかり間違って「人探し」をする羽目になった話。

25歳ゆえにこの作者の「知能」と釣り合いが取れているのと、「探す」ことが仕事なので前向きに探す姿勢が読んでいても苦痛にならず。
よって、今までの作品の中で一番「推理小説」ぽかった。
ただし、ストレートに書いている分、よくある展開な為先が読めちゃうのが残念。
ひねくりまわした文体にうんざりしていたので、読みやすかった。

めでたくやっと読み終わった。
「古典部」や「小市民」などのシリーズものとは違って、一冊完結。

ユーゴスラビアの「どこか」からきた少女「マーヤ」。
2か月の滞在中仲良くなった主人公が一年後「無事でいるかどうか」という理由(これが最後の最後まで明かされずに展開。そのため、なぜ探すのか意味が分からずイライラ)で
当時の友人と再会中に「当時の思い出」として過去を振り返ることで問題提示する形になっている。

滞在中のエピソードは出版社が「ミステリー専門」ゆえに
とってつけた 感が否めず。
たとえば「激しい雨が降っている時に、傘を持っているにも関わらずささないのはなぜ?」というマーヤの質問の答えが
「その日が燃えないごみの日だったから」というお粗末な…
もしくは「たまたま行った」墓地に「紅白まんじゅう」と赤いサルビアの花が供えてあったことも「その人が墓に入ったことを喜んでいる人がいる」という「回答」でしたが、もしかしたら個人が「××の紅白まんじゅうが好き」だったかもしれないし、紅いサルビアの花が好きだったかもしれないのに。
私の住んでいる地域なんか90歳以上が死んだときは「紅白まんじゅう」を付けることになっている。初めそれを聞いたときは「え~~~~」って思ったけど。
長生きして死んだ場合はOKなのだとか。ゆえに、その墓のエピソードも納得しにくかった。どこまでも「日常の謎」にこだわりたかったのだろうけど、底が浅い。

ライトノベルと一般小説の中間のような感じ。
ユーゴスラビアという重たい背景を持っている割に滞在中のエピソードが軽すぎてせっかくの感動が弱くなる。
マーヤが話した内容から彼女がどこに帰ったのか、を推理していくのだけれど出た結果と結末が切なかった。

さて、本作を読むにあたって地図を広げる羽目に。
作者が1990年から1991年を舞台にしているとのことで
私の高校時代の地図=帝国書院編集部昭和58年4月発行 分と
長男の地図=帝国書院編集部平成21年1月発行分を見比べてみた。

数ある教科書は処分したんですが、地図って捨てれなかったんですねえ…笑

ユーゴスラビア=
スロヴァニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア、モンテネグロ、マケドニアの6つから成るそうで。私の地図にはただ一言「ユーゴスラビア」だけで表記。
一方、長男の地図では
スロベニア共和国、クロアチア共和国、ボスニア・ヘルツエゴビナ、セルビア共和国、モンテネグロ共和国、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国と表記。
この物語の数年後にすべて「独立」したってことですね。

遠くにいるとたくさんの人が血を流して歴史が変わっていくのに、無関心でいるとこんなに知らなかったのか…と打ちのめされる。
地図を見ると歴史がわかる。
私の地図には「チェコスロバキア」と一つの国なのに
長男のでは「チェコ共和国」と「スロバキア共和国」の二つになっている。
ドイツもしかり。
みんな「自由」を求めて独立していったんだねえ…
「自由」だけじゃなかったのかもしれないけど。
そんな深い意味を知ることもなく、日本という「のどかな」国にいたら世界から取り残されても仕方ないなあと思ってしまった。

題材がものすごい重たく深い話なのに。
書き方(アプローチの仕方)を変えたらもっといい本になったのになあ…と残念な一冊。
古典部シリーズ第三弾。

一人の作家を集中して読む、というのが自分のスタンス故連日読んでおりますが、はっきり言って私、この作家の本

嫌い というか苦手だと思う。
正直、読んでいて面白くないんだよなあ…
じゃ、読むなよ、って感じですが、とりあえずは図書館に蔵書がある分は網羅したいのが心情。

なぜ嫌いかというと
主人公&ヒロインに共感しない からだと思う。

小市民&古典部の主役は形は違えど
「自分は他と違う特殊能力がある」と自信家だし、
ヒロインは黒と白と全く性格は違うが、「人の心理を利用して自分の思うとおりに人を動かす」タイプだから。

主人公は「特殊」ゆえにそれを出したくないから 行動がどこまでも消極的ゆえに一般のヒーロー像とはかけ離れたぐらい読者を「イラつかせる」ぐらい「解決しよう!」という気概が見られず「仕方ないよな…」と「嫌々」感たっぷり。
古典部の主役なんて千反田える(ヒロイン名)がいくら
「私、気になるんです…」とほざこうが「そう、気になるの。
じゃ、自分で解決してね 」と言えば自分のポリシーに反しないで済むのにね。
それをなんだかんだと理由を付けて。だるそうに。
イラっとするわ!まあ、ダラダラ行動しないと話が展開しないという物語の構造上仕方ないとはいえそのテンポの悪さが本当に苦痛。
だって、大したことでもないことを「事件」と称して大きく見せる話ばかりだから。『熱海殺人事件』かよ?!

これを青春小説として捉え、推理小説と考えずに割り切ったら読めなくもないけど。
どっちつかずがどうしても歯切れの悪さを感じさせる。

本文は「文化祭」に起きた出来事を「事件」と捉えて校内をくまなく冒険中!ってとこか?

小さなことを気にする人って、どっちでもいいことにこだわるんだよなあ…そして他人を巻き込んで人に解決させて。

2しーりずとも主人公&ヒロイン以外はいいキャラ設定なんだけどなあ…メインの性格がイマイチすぎて、魅力に乏しい。

この作者の本は『このミス』に載っていたので題名が面白そうだから借りることになったのだが、別に「ミステリー」だから借りようと思ったわけでなく。

「古典部」シリーズ第二弾。

これを読んでいて自分の中にある「ミステリー」という概念が狭義であることがわかったし、それ以上に「ミステリー」ってジャンルは一体何???という疑問を持つことにもなった。
で、「探偵小説」系というのは本来シンプルな出来事を、作者がいかに「ややこしく」した作品ということかも。
難しい言葉で読者をミスリードし続けた挙句、ラストで「こういう構造になってました」といおうか…

ところで本作、「女帝」入須冬実の言葉使いが「変」と感じるのは私だけ????????????
統一感が無いというか、う~~ん。

それとこの人の作品に出てくる登場人物の「苗字」変わったのが多い。それ、暗に何か示しているのか?と疑ってしまうぐらいに。一般表記しないような苗字ばかり。

あと、一作目の『氷菓』で主人公の姉の特技が
合気道と逮捕術 と書いてあったけど
柔道、空手、テコンドー、カポエラなんかは教室があるのを知っているけど「逮捕術」って…
それ、一般に教えているものなの?
しかも「女子大生」の身分で…
設定に無理があるような…


デビュー作、かつ2001年第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞受賞作。

登場人物や設定が『秋季限定』と似ている。
が、こちらはシリーズものとして「古典部」たる冠がある。

scream

読者に辞書を引かせるなんて、なんて不親切な作家だ。(笑)
しかし、この語の意味が分からないとオチがわからないといういやらしい設定。あんたは学校の先生か?って感じですね。

ちなみに私の手元にあった簡易辞書では
キャッという(声)
キャッキャッという笑う(声)
金切り声(を出す)
そして
【俗】実に滑稽な人

とあり、最後の【俗】かなあ…と思ったのですが、
再度、子供用に買ったものの、いまどきの子供は電子辞書なるものを使用するため、ちまちまと辞書を繰るなんて効率の悪いことをしない為に折り目のない使いにくい研×社のぶっとい辞書をめくりますと

(恐怖・苦痛などの為に)叫び声をあげる

とありました。

この意味ならものすごく意味が通じ、なおかつその言葉を使った人の気持ちが痛いほどわかりました。
まあある意味「滑稽な人」というのもわかるし。

意味不明な文章になりましたが、本を読む前にカンニングの様に人の感想を読んでから本文を読む人はいないと思うので。あくまでも読後に自分の感想と照らし合わせるぐらいの気持ちで読む人がいる、って前提で書いてますから。
ましてや、宿題の読書感想文を人の感想文から引用する人はいないでしょう、と思ってますから。
けど、夏休み後半になると異様にアクセス数が増えるのは一体どういう事なんでしょうね????
『このミス』のランクインしていただけのことはある、のかな????
『春季限定』に比べたらミステリ度はかなりアップしているとは思うけれど、『夏季限定』で見せつけられた小山内のどす黒い内面を知った上で読むのだから「こいつがなにもしないわけない」と常に疑って読む始末。

小鳩ですら小山内のことを
籠絡とか懐柔とかは僕の専門じゃない。
…そういうのは小山内さんの分野なのだ。
人を安心させ、懐に飛び込む。
利用されるふりをして利用する。


私の一番嫌いなタイプ。『春季』で感じた小山内のキャラへの嫌悪感はこれに起因する。

で、ネタバレ。
こんなどす黒い性格の女と「復縁」する小鳩はおめでたいキャラなんだろうなあ…
この二人、結局は「自分が一番かわいい」タイプで似たもの同士。お似合いかと。

大体、いっつもスイーツをドカ食いしているのは小山内なのに金を払うのは男ってのも気に入らないし、人がしゃべっているのにスイーツしか目に入ってない態度もむかつく!

このむかつくキャラ設定わざと??
そもそもこのシリーズ、表紙のイラストと題名に騙される内容だと思う。可愛いふりしてかなりのブラック。
見た目で騙されるあんたがバカなんだよ、って見下げられている気がする。
「上」に属している人間が読めば面白いんだろうけど、「中」や「下」にいる人間にしたら振り回されていい迷惑。
人を傷つけて楽しい??


『夏季限定』で別れた(?)二人にそれぞれ彼氏と彼女ができた。
下巻に続く
『春季限定』に比べて若干ミステリの部分がうまくなっているような。
とはいえ、相変わらず小山内の性格は悪い。
ほんと、いくら自分の身を守るためとはいえ「小市民」同盟(?)の小鳩まで騙し、さらに哀れな石和を冤罪でハコ送りにする。オドレの顔、石和の代わりにワシが切ったろか?!って真剣に思うぐらいイラつく展開。最低な女。
まあ、そんな最低な女にうまく踊らされて、名探偵ごっこをしている小鳩もバカ。
こんなバカぶりで「目立たない小市民」を目指すって言う設定、作者も相当性格が悪いと思う。

まあ、読後スイーツを食べたくなる一冊ではあるが。
ここで一旦小鳩と小山内の関係は解消。
『秋季限定』で二人は仲直り(?)するんだろうか?と読者をやきもきさせる展開。
先日読んだ(目を通した)『このミス』で紹介されていた『秋限定』を読む前にシリーズの最初の本書を。

これ、シリーズ最初だよね??と自分に問う事数回。
というのも主人公の小鳩(♂)と小山内(♀)が文中頻繁に
小市民を目指す物として 」という
言葉を使う。
「小市民?なにそれ?」と読んでいる間ず~~っと疑問に思う。
小市民とは簡単に言って「目立たず、地味に、存在を隠す者」まあ、その他大勢ってことで。
それをわざわざ目指す ってことは
言い換えれば「普通にしていたら目立つんで」 ってこと?

自意識過剰じゃね~の、こいつって感じで感じ悪い。
あ、高校一年生の設定です。

そしてもっと嫌な描写が小山内。
女性読者の8割は嫌うだろうな、こんなタイプ。
でも、それは作者も意図していたらしく文中で小鳩の小学校時代の友人がこう表現している。
お前は嫌な奴だった。どうにも気にくわない奴だったよ。ちっとは知恵が回るのを鼻にかけて。
それがどうした?
今お前がやろうとしているのは『都合の良いように人を踊らす』ってことだとわからんか。ちょいと蟲が良すぎるだろう」


そう、小山内の言動は全て言いたいことをはっきり言わず、なんとなく察して欲しいに終始している。
これは小鳩もそうなので二人してこそこそしまくり。

小鳩は中学の時にその小生意気なキャラのせいで痛い目に遭った。小山内は自分い危害を加える相手を完膚なきまでに叩きのめすキャラだったため、互いに封印しあう関係を目指す!と。その結果が「小市民」。

…あほくさ。
だって「目立つ」と言っても学校や日常で起った「ちょっとした出来事」の理由や疑問を解決しただけのこと。
殺人事件を解決したり、おおっぴらに目立つわけでもないのに。そんな、「自分は知恵がよく回る」的な自慢ですか?って感じ。
まあ、本編では詐欺集団の摘発に一役買うんだけど。
それがまた「小市民になりそこねた」とか言う落ちなんで
なんかなあ…
諦念と儀礼的無関心を自分の中に育んでそしていつかは掴むんだ、あの小市民の星を。

失礼だな。

で、私も思ったことを最後の解説で「極楽トンボ」なる人がこう書いてある。
個人的にはいっそのことミステリ要素をスッパリなくしてひたすら青春小説路線を突っ走ってみたら面白いんじゃなかろうと思ったりしますが…


全くその通り。
ライトノベル的ミステリーと言うかめちゃくちゃ中途半端。
とはいえあくまでも「このミス」に推薦されたのは「秋限定」なのでこの「春季限定」が 駄作イマイチでも仕方ないのかな?と思った。
「秋限定」を読む前に「夏季限定」があるので、もう少しレベルアップされていることを希望する。
先日読んだ『聖夜』と同じ系列。

第二音楽室(2005)
デュエット (1993)
FOUR(1988)
裸樹(2009)
( )内は著者がこれくらいの年代を想定して書いたもの

個人的にはFOURがお気に入り。
一作目と4作目は主人公が自分のことを「ウチ」と表現するのがどうしてもしっくりこなかった。
とはいえ、職場の20代の子がやっぱり「ウチら」とか言う表現を使っていたのでそんな年代なのかな?と。

ウチって私的には「うちの子」「うちの旦那」「うちの場合」といったあくまでも個人を指すのではなく「我が家」とイコールな使い方をするのに対して、この世代の子は
「ウチ」=「私」といった感じ。
その響きにはあくまでもじぶんたち「だけ」を意識しており、うち以外の「外」は全く無視ですか?って気がする。
せま~~い、せまい、インナーワールド。
まあ、自分が学生時代の時はそんなんだったのかも。
大人になったら「自分たちだけ」ってことでは済まないから。


ところで『聖夜』を読んだせいかこの曲を思い出しました。
本編アニメは見なくてもエンディングだけは聞いていた記憶が…
http://www.youtube.com/watch?v=dK4mHPZgsEY&feature=related
特に神戸をバックにしてくれているので。

堕天使は神様の元に帰りたい…
背表紙がピンクの本、というだけで借りた本が3冊とも撃沈したのである程度「実力がある」人の本を借りてみた。
もう、未知数だらけの新人歌手より定評のある知名度もある歌手で安心して聞きたい、そんな気持ち。(笑)

話すことが仕事の「噺家」ですら、本当に言いたいことはなかなか言えない。
「しゃべれども、しゃべれども、本当に言いたいことは言えず。特に、気になる相手には」って感じ。

落語を知らない私にとっては文中の「セコ」とか「マクラ」などの専門用語が頻繁に出てくるので注釈をつけてくれたら読みやすいのにな、と思った次第。

ラストは黒猫といい感じになってよかった、よかった。
本書は小説ではありません。
じゃ、この人が書くのであれば通常なら「エッセイ」で分類されるところですが結構いい線で「ワイン体験」をまとめているので「超初心者向けワイン入門書」として認められたのか図書館の分類ではきちんと食品=ワイン本として
分類されていました。

本当にいい一冊です!入門書として。
三浦さんの超笑い転げるリアルな体験描写の次にまじめな先生のレクチャーの対比。
こんなにグビグビ楽しく飲めるワイン研修があればいいのに…とどれだけ思ったことか。
行ってみたいんですよ。ワイン講習会。
でも、ものすご~~く敷居が高そう。
「私、ちょっと たしなんでおりますの。もう少し、深く知りたいと…」なんて言いそうな人と飲んだらきっと「 ちょっと」の定義が本当に人によって尺度が違うことがわかると思う。

でも、これ読んで思うのは

ワインは楽しく飲めたらいい。
うんちくを披露する場ではない

思った。

ちなみに第一回のしをんさん並びに「ワイン舌丁稚」さんたちのワインに対する意識は
私は本当はアルコール分が入っていれば何の酒でも大好きだ!
ひょっとするとメチルアルコールでも大丈夫かもなと思うほど、ありとあらゆるアルコール含有液が大好きだ!
だから私に好きな酒を聞くのはやめて欲しい。
ましてや、銘柄とか聞くのはやめて欲しい。
わからん。そんなややこしいことはわからん。
ただアルコールを愛しているだけだ!
アルコール分を摂取して酩酊できればそれでいいのだ。
ワインなんて、そんな難しい飲み物について勉強できません。

ああ、まるで自分のことを書いているようだこの文章。
だから余計にこの本で徐々にみんなの「ワイン舌」が進化していく様が楽しめた。

同じブドウの品種で国が違うのや、同じ国内でも産地が違うほぼ同レベルのワインを使っての飲み比べってやってみたいなあ~~

まあ、私はどの料理でもオールマイティなスパークリングがいまのところお気に入りですが。
本書にもスパークリングについても記述があり、普段から疑問に思っていたことなどが質問されていて大変参考になりました。
入門書として本当に本当にお勧めの一冊。
病んでるよ、終わってるよ。

明るい太陽の下を元気に歩ける生活してますか?
7編からなる短編。ですが、4編目で脱落。
「Hする」とか「セックスする」という「明るい」表現ではなく「まぐわる」という隠微な響きの方が似合う内容。
しかも「やっている」のがションベン臭い小中生。
田舎臭く、方言丸出し、そして美少女でもないそんなのが「まぐわる」わ、4編目に行ったっては「犬」とやるんだから…病んでる。
くら~~~い穴の底を覗いたような作品。これを「孤独」と置き換えるんでしょうか??????



今日書いた3作品、自分的には完全なる3連敗
本を選ぶとき、直感で選んでいるんですが。
3篇とも共通しているのが背表紙がピンク色だった ということで借りたんですが。
いや~~完敗。

歌で例えたら3作品とも絶対に「国民的」な歌や歌手にはなれないと思うけど、場末のライブハウスでコンサート開いたら完全マニアのフアンがニヤニヤしながら開演を待っていそうなタイプ。

妄想キモオタ作品。
全4章から成り立っているうち1章で撃沈。
ごめん、付き合いきれない。時間と体力がもったいない。

< 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 >